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大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

高等教育関連の話題が中心。最近は補助金やIR、SDの話題が中心です

IRと大学職員⑬ST比は少人数教育の指標なのか?

 ST比といっても、大学関係者はよく分かっている・聞いた事があっても一般的にはあまり馴染みのない言葉なのかなと思っています。そもそもST比とは、次の理解がなされているかと思います。

フルタイム教員1人に対する在籍する学生の人数を表す指標。(松田,2017)

 また算出方法について、次の注意点もあるとされます(一部抜粋)。

1.通常、非常勤教員を含めない指標、2.単に入学者数が減っても改善してしまう値であるので、実際の在籍者数を用いずに学生数を定員で考える方法もあります。(松田,2017) 

ST比は、教員一人当たりの学生数となりますが、

○教員→原則的には専任教員(ただし大学によって、特任教員とか客員とか定義によっては入れる場合がある)

○学生数→実数で見る場合と定員ベースで見る場合がある。実数の場合は定員割れをしていれば無論、ST比は良くなる(下がる)

なお、分かりやすい説明はこちらにもあります。

kyoiku.yomiuri.co.jp

 上記も見るとよく分かりますが、ST比が低いという事はそれだけ専任教員が教育研究指導を丁寧に出来るとみなす事ができます。

 

 さてST比は、様々な調査が行われ、それを活用した報告があります。

<例えば10年前ぐらいの私立大学の状況の参考>

https://www.shidaikyo.or.jp/riihe/book/pdf/sousyo3.pdf

近年は、雑誌等での特集やアンケート結果をまとめたものがありますね。例えば大学の実力とかでしょうか。また今月は東洋経済から大学ランキングでもST比は活用されていました。

大学の実力2017

大学の実力2017

 

 さて今月発売された「本当に強い大学2017」を見ているとST比について、引っかかるものがありました。併せて、「大学の真の実力情報公開BOOK」と比較して、ST比の説明と算出方法について下記の表のようにまとめてみました。

媒体 ST比の説明 算出方法
週刊東洋経済 臨時増刊「本当に強い大学2017」 数値が低いほどきめ細かく学生を指導できる。今回は少人数教育の実態をより反映しやすくする為、教員数に助教や兼務者(非常勤講師など)も含めている。 学生数÷教員数(助教、兼務者含む合計で、専任教員のみの教員数とは異なる数字を使用)
(2016は学生数÷教員数)
旺文社「2017(平成29)年度用 大学の真の実力情報公開BOOK」 大学の教員と学生との距離を見るための参考資料。教員一人あたり学生数が少なければ、それだけ先生から密に指導が受けられる機会は増える。
(少人数の授業の数のチェックについても言及)
(男子学生総数+女子学生総数)÷専任教員数

出典:『週刊東洋経済臨時増刊 本当に強い大学』2017.5.24,『大学の真の実力情報公開BOOK』2016.9.30より作成

 

さて、最初に定義を引用したように、ST比は専任教員数を学生数で割った数字であり、教員一人当たりの学生数と思っておりましたが、東洋経済は少し異なるようです。気になったのは次の点です。

 ①少人数教育とST比について

 ②助教を含めると記載した事について

 ③非常勤講師とST比について

そこで少し上記3つについて考えや思う所をまとめてみました。

 

①少人数教育とST比について

 ST比は何回も述べているように、低ければそれだけ一人当たりの学生の教育研究指導が出来る時間があるとみなし、教育研究指導への一人一人へのリソースが振れると考えます。ただこの教育研究指導が、授業時間(ゼミを含む)なのか、授業外も含めてなのかも考慮しておく必要があります。

 またST比が低いから少人数教育かというと、必ずしもイコールではないよなと感じています。一部のみ少人数教育であとは中規模や大規模での授業かもしれません。また少人数教育とは何かも明らかにしておく必要があります(一般的には授業の履修者数と指すのではないでしょうか。そうするとST比と同じかどうかは疑問です)さらに言うと、1授業でも複数の教員が担当しているケースもあるのですよね。

 少人数教育をやっているかどうかを見るには各大学の授業における方針で授業形態によって履修者人数の最大上限を定めているかどうかも含めて見る必要があります。(例えば大学設置室にある設置申請時の書類の「設置の趣旨」にも記載している大学があります)

<参考>

大学設置室

 

助教を含めると記載したことについて

 まずは学校教育法を見てみましょう。

第九十二条 大学には学長、教授、准教授、助教、助手及び事務職員を置かなければならない。ただし、教育研究上の組織編制として適切と認められる場合には、准教授、助教又は助手を置かないことができる。
○2  大学には、前項のほか、副学長、学部長、講師、技術職員その他必要な職員を置くことができる。
○3  学長は、校務をつかさどり、所属職員を統督する。
○4  副学長は、学長を助け、命を受けて校務をつかさどる。
○5  学部長は、学部に関する校務をつかさどる。
○6  教授は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の特に優れた知識、能力及び実績を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
○7  准教授は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の優れた知識、能力及び実績を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
○8  助教は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の知識及び能力を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
○9  助手は、その所属する組織における教育研究の円滑な実施に必要な業務に従事する。
○10  講師は、教授又は准教授に準ずる職務に従事する。

 今回あえて助教を入れると記載されているのは、昨年は入れてなかったのか、助教は社会からはどういう立場かが分からないと考えたから記載したのは分かりません。(ただ、もし昨年の2016年度版で助教を専任教員としてカウントしていない場合は、数字としてどうなのでしょうか)

 

③非常勤講師とST比について

 ST比に非常勤講師を入れることで少人数教育の実態を明らかにしたいと考えたのかもしれません。ただそれなら、非常勤講師ではなく、授業形態ごとの平均履修者数とかを示せばいいのにと思います(ただ大学側としては、新たに数字を作る場合は手間がかかります。)そして1科目しか担当しない非常勤教員がたくさんいればST比は下がる(良くなる)わけです。

 

 さて少しまとめてみるとST比は少人数教育の指標としてはイコールではないという点、少人数教育についての指標であれば授業形態ごとの履修者人数の平均値とか別の指標が必要ではなかろうかと思います。

 

 最後にST比を見る上で、例えば受験生やその親の立場として考えた場合は、大学全体で見るか、学部で見るかといった事も考えられます。例えば私立大学は大学設置基準で定められた最低限の教員数を目標としている場合もあります。その場合は大学設置基準の分野ごとに定められた別表1と大学全体で算出する別表2があります。大学は別表2の教員を大学のどこ(学部)に割り振るかは、様々な諸事情から決定する訳です。よって大学全体のST比が良くても、入学した学部は最低限の教員しかいないという事もあります。

 また近年はTAやSA制度、学生支援(教育や学生生活等支援)を行う部署がある大学もあります。ST比は一つの目安であって、大学がどのように学生支援を行っているかは、大学のホームページのみならず、大学ポートレートや自己点検評価報告書などを見たほうがいいのにと思います。 

as-daigaku23.hateblo.jp

 

≪参考・引用文献≫

「調査データからわかること」『大学の真の実力情報公開BOOK』2016年9月30日発

  行,p18,旺文社.

「本当に強い大学総合ランキング」『週刊東洋経済臨時増刊 本当に強い大学』  

  2017年5月24日号,pp12-13,東洋経済新聞社.

松田岳史(2017)「教員:学生比率(S-T比)」松田岳史・森雅生・相生芳晴・姉川恭

  子編『大学IRスタンダード指標集』玉川大学出版部,pp.14-15.

ある職員の書棚の一部を公開

  ツイッターで要望があったので、自分の本棚の一部を公開してみます。

 

・今回公開するのは、自宅の書斎の書棚の一部です。これ以外にデスクやリビングに少し積まれてますが、とても見せられない汚さなので今回は自粛。

・書棚は一部です。またトレーニングや運動学、生理学の棚や料理本などは今回は除外。

・業務で実際に使っている本は、職場にあり、今回は除外。

・中堅の年齢なので、自分の業務に関する本が多く、決して参考になるとは言えません(重要!!)

・リスト作るの面倒なので、写真にしました。

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教育六法は、職場にも自宅にもあります。

これ見ると、かなり偏ってますね。新書はそうでもないかと思うのですけど。

また大学図書館を使う事も多いですので、読んだものの大半は最近ツイッターでつぶやくようにしいますので、そちらも確認して下さい。

業務の高度化と引継に思う事

 ジョブ型とメンバーシップ型の議論、そしてメリットとデメリットの話もある事は承知している。そして大学の中にいるものとして、事務組織の業務内容も言われた事や適切に定められた業務ばかりではなく、新しい業務や問題解決を図ったりと、業務が高度化している実態も見ている。

 

 最近は、URAやIR、また技術系や専門職員といった雇用形態等があるのも承知している。

<参考>

 

リサーチ・アドミニストレーター(URA)を育成・確保するシステムの整備:文部科学省

 ただふと感じるのは、業務の高度化が進む一方で、人事制度(特に異動も含めて)の再構築・検討しないといけないよなと言う事がある。そもそも高度化された業務の引継を1週間で出来るのだろうか?場合によっては引継は1~2日という事もあり得る。まあ定められた手順に沿った仕事は、専門的であっても、そしてその仕事の意味が分からなくとも出来るかもしれない。また同じ部署に数名いれば、業務はできるだろう。まあ引継が出来ないなんて仕事が属人化していると批判を受けるかもしれない。

 引継で出来るのは業務内容と手順、そして幾分かの知識ぐらいだと思っている。その人の経験や業務内外で培ってきた知識全ては引継ぎをする事はほぼ不可能(やるなら、膨大な資料となる)。また知識を引継しても、理解や価値観を引継ぐ事は出来ないだろう。(むろん、価値観は同じである必要はない)

 自分がその業務に長く携わり、異動する際に引継をする事になったらどうするか、考えてみると業務手順以外に、その業務を行う上で必要な最低限の知識やスキル修得の為にいくつかの著書を示す事から始まるのだろうと思う。

 

(コラム)IRと大学職員⑬私学における経営IR

 昨年度に参加した大学教育研究フォーラムの主にIRに関する発表の中で出てきた話として私学におけるIR、特に経営IRの話があります。

 そもそもIR組織を教学を担う大学にあるのか、経営を担う学校法人事務局(本部)にあるのか、まだ大学や学校法人の規模や総合学園かどうかでIRの内容は変わるような気がします。(初等中等部門も持つ学校法人かどうか、大学規模、宗教系や◯◯系や短大からの改組などの大学の設置背景、ガバナンス体制あたりに左右されるのでしょうか)

 では経営IRとは何のか?「経営にはIRが~」という文章を見かけた事や話を聞いた事がありますが、ではKPIなのか?それとも財務なのか?という共通認識は大学業界では共有化されていません(そもそもIRの類型化が増えてきているように思います。機能や目的を主としたもの(例:教学型や学生支援型IR)や組織を主としたもの(例:分散型等))

 

 では、財務のみを取り扱う事が経営IRなのだろうか?それもちょっと違う気がします。中期計画やKPIの設定も入るのかもしれません。ただ、以前にも書きましたが経営IRという括りはあまりすべきではないのかなと思います。( この括りは学内や法人内でのという意味であって、対外的に説明する時は分かりやすくする為としては、良いかと思います)

as-daigaku23.hateblo.jp

 

 

大学職員の勉強の外部リソース~2017年度夏まで

 そういえばこんな記事を書いたのは、だいぶ前の話でした。

as-daigaku23.hateblo.jp

 当時はSDの外部リソースとしましたが、SDの意味や対象も変わってしまいましたので、今回は同様の内容ですが、大学職員としてみました。またこの記事で紹介するものは私が参加しようか考えているもの、且つあまり専門の分野に偏っていないもの、他の職員の人も参考となるようなものの紹介です。なお、申込方法等はリンク先をご確認ください。(中には事前申し込みが必要なものがあります)

 

●日本高等教育学会 第20回大会
日時:2017年5月27日(土)~28日(日) 

会場:東北大学

日本高等教育学会第20回大会

 学会というと敷居が高そうかもしれませんが、新しい知見を聞く事は業務に活かせるものもたくさんあります。(ただ聞くだけ、それを持ち帰るだけではなく、自学なら自分ならという視点も必要です)東北大学は地下鉄が出来たおかげで行きやすくなったのは助かってます。

 

●大学教務実践研究会セミナー 教務系職員初任者向け講習会

日時:2017年6月17日(土)10:30~12:20 (教務事務の基礎編)

             13:30~15:20 (教職事務の基礎編)

場所:中京大学 名古屋キャンパス センタービル 0号館

名古屋大学 高等教育研究センター

 対象者が教務事務経験0~3年までと教職事務経験0~5年までが対象の講習会です。教職事務は個人的には専門職に近い気がします(旧法とかになると自分も・・・)

 

東北大学アカデミックリーダープログラム

[募集締切] 2017年 5月26日 (金)

www.ihe.tohoku.ac.jp

高等教育に関する体系化されたプログラムです。応募資格は少しハードルが高いですね。(英会話も日常会話ぐらいでいいならいいのですが)

 

●大学教育学会第39回大会

開催日:2017年6月10日(土)・6月11日(日)
場 所:広島大学総合科学部
    (広島県東広島市鏡山一丁目7番1号:JR西条駅下車)
    ※東広島キャンパスへのアクセスはこちらを参照
統一テーマ:教養教育の再考

大学教育学会 | Japan Association for College and University Education

 当日は仕事があるのと、広島まではかなり距離があるので参加は今回はしない予定です。なお、秋に行う課題研究集会は、尼崎の関西国際大学なので、こっそり参加しているかもしれません。

 

●SPODフォーラム2017

日時:平成29年8月23日(水)~25日(金)
場所: 徳島大学常三島キャンパス(徳島県徳島市南常三島町1−1)

https://www.spod.ehime-u.ac.jp/

 申込はまだこれからですが、ワークショップが多いフォーラムで、個人的には毎年誰かは参加させたいとは思っています。今回紹介する中で迷ったら、まずはこれかなと思います(ただ、SPODフォーラムは毎年、他のフォーラム等と日程が重なるので、どれを行くか非常に悩むのですよね)

 

●大学コンソーシアム八王子 FD・SDフォーラム

gakuen-hachioji.jp

毎年、SPODフォーラムと同じ時期に開催している事が多いのと、開催案内が他より多少遅いかなと思いますが、こちらも興味深いプログラムがあります。

 

そういえば、ふと思い出してHPを見たら、これの案内も掲載されていました。

●大学セミナーハウス

iush.jp

 

ちなみに外部のセミナーや説明会に出た報告を受けて、う~んと思うものとしてまずは次の3点を挙げてみました。

①名刺を集める事が目的となって、報告で誰と話をしたか、名刺を交換したかといった話のみ(亜種として、夜に飲んだ話だけとか)

②聞いてきた話をそのまま報告する(子供のおつかいレベル。また自分の血肉になっていない)

③報告が「良かった」「勉強になった」だけ。(何が?どうしてそうなの?)

そういえば、参加する前(申し込む時)に「誰かと一緒ではないと参加できない」というのもありました。

上記3点については、自分も気をつけないといけない事です。(個人的には、こういうフォーラムに参加するだけではなく、他大学への事例調査は非常に勉強になると思います。)

<参考> 

as-daigaku23.hateblo.jp