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大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

高等教育関連の話題が中心。最近は補助金やIR、SDの話題が中心です

IRと大学職員⑦報告(レポーティング)における気をつけている事

 IRの業務に限った話ではないですが、データ集計・分析等の報告をする上でいくつか気をつけている点があります。IRは、データ分析だけではなく、データの収集、データから情報への変換(データ集計・分析)、報告といった流れがあり、データ分析までがIRではありません。報告もIRの大きな役割です。それでは、一担当者が気をつけている事をまとめてみました。

 

①.報告対象者を見据えているか

・報告対象者はどのような立ち位置の人か(執行部?現場?)

 派生して考えると、相手の年齢層はいくつぐらいですか?たまに経験豊富な方々がほとんどの会議資料で、文字サイズは小さい時がありますので、その辺りも考慮が必要です。

・報告対象者のデータを読み取る力はどのくらいあるか?

 統計分析をたくさん行っても、報告対象者がその分析・意味を分からなければ、分析・報告する意味はないと思っています。例えば様々な分析を行っても、どこかで分かりやすく解説は最低限入れておく必要があります。

・二次報告者を見据えているか?

 分析したデータ報告は、IR担当者が直接報告を行った人からさらに別の方(二次報告者)へ報告をする場合があります。意味が分からない事は、IR担当者が直接説明できる機会があればいいですが、そうでない場合は、一次報告者が二次報告者に対して説明ができるような資料を作成する必要があると思います。

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②.報告書の様式について

・ページ数はどの程度か(適切な量か)

 様々な分析・探求的なデータ分析は否定するものではありませんが、全ての結果を載せると膨大な量になる場合があります。例えば分厚い報告書を出して、「○ページを見て下さい。次は○ページです」としてもいいのですが、報告書の最初に伝えたい事項・要約・サマリーがあってもいいのかなと思います。

・フルカラーについては注意

 データを扱う以上、グラフ等を載せる事は多くなります。ただ、あまりにカラフルなのも考慮が必要です。例えば、ページ数が多い場合はフルカラー印刷はコストが高いです。会議によっては、原則白黒コピーの会議もあります。その場合、IR担当者が会議の場で「赤の部分は○○です」といっても、報告対象者の手持ち資料は白黒かもしれません。フルカラーはPDF版や報告書はいいですが、例えば、グラフは色の濃淡で表現し、白黒印刷でも見えるようにする、二色刷り印刷に対応した報告書にするといった工夫が考えられます。(二色刷りだと、白黒印刷とコストがほとんど変わらない場合もあります)

 

③その他

・自己満足な報告書になっていないか

 例えば、分析手法を勉強して、色々分析をしてみるのは大事ですが、自分が分かることは相手も分かるとは限りません。

・事前調整はすんでいるか

 よくありがちな話ですが、分析になるとご専門の先生がたもおりますので、そういう人たちは調整(俗にいう根回し)が必要な時があります。自分の場合は、「これはどうですかね?」と教えてもらうと一緒にやっている時が多いです。

 

 何個か気をつけている事項について列挙してみました。組織文化によってもだいぶ違うかと思います。専門的な仕事になりがちだからこそ、相手をきちんと見て業務をすべきだなと感じています。

【コラム】「現場を見ろ」と言う事について

 仕事をする上で「○○を見ろ(見ておけ)」という言葉は誰しもがよく聞く言葉かと思います。例えば、現場・外・上・下・お客・・・etc。

 

 確かに「○○を見ていないのではないか」と思う場面もありますし、自分にも欠けている場合があるかもしれません。ただ一概に「○○を見ろ」は、言われた人は見ていないという同義語ではないと思っています。

 

 例えば、現場にAさんとBさんがいて、「現場を見ろ(もっと現場を見て欲しい)」とAさんがCさんに言う場合、Cさんは現場をBさんから聞いているかもしれません。もしくは間接的に見聞きしているかもしれません。

Aさんとしては次のいずれかがあっての主張かもしれません。

 ①現場を見ていない判断・提案だから、色んな人に聞いて欲しい。

 (Cさんの判断が見当違い、判断ミス。)

 ②現場を担当している自分に聞きにこないなんて、現場を見ているとはいえない

  (≒自分の意見が反映されていないのは、現場を見ているとはいえない)

 ③そんな判断・提案は自分は認めない。(本人の価値観による相違)

 ④Cさんは、社内外や将来を踏まえているが、Aさんには見えていない

 ⑤個人的にCさんが嫌(単に嫌がらせ)

まあ大概の場合は①か④でしょうか。でも言えるのは(⑤は論外ですが)、Aさんは④のケースもある為、視野をきちんと広げる、Cさんはどのように判断・提案をしているかをしっかりと納得できるよう説明・調整することなのではと思います。

大学の実力は何処で見るのか

 H28.9月に、次の2冊が発売しました。 

大学の実力2017

大学の実力2017

 

 

2017(平成29)年度用 大学の真の実力 情報公開BOOK (旺文社ムック)

2017(平成29)年度用 大学の真の実力 情報公開BOOK (旺文社ムック)

 

 「大学の実力」が9月中旬で、「大学の真の実力」が9月末の発売なので、ラスボス倒した後の裏ボスみたいだなと思うわけですが、内容はそれぞれ特徴があるものとなっています。

「大学の実力」は、質問の分野、学問系統、国公私立、都道府県といった記載がされており、系統別で比較した場合は非常に見やすい構成です(一方、大学全体を俯瞰するには適していません)

「大学の真の実力」は、質問の分野、国公私立、都道府県となり、その大学にある学部の特徴が分かりやすくなっています。(一方、同一分野での比較は、ページをめくりながら比較する必要があります。

 

 またそれぞれの媒体において、どのような情報があるのかを簡単に一覧にしてみました。また2冊の比較に加え、大学ポートレートで公表されている情報も入れております。

※大学ポートレートの項目の参照は下記のページです。

公表項目 – 大学ポートレート

 また一覧表はそれぞれの項目は定義や説明を見たうえで、数なのか比率なのかが分かりにくい場合、また内容が分かりにくい場合、名称を一部変えています。今回は項目(どのような内容か)を記載していますので、順番やカテゴリーを一部分かりやすいように変更しています。

 情報そのものについてはここでは言及しませんので、各自で購入の上、確認いただければと思います。

それでは、まずは大学全体の情報からとなります。

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続いて学部ごとの情報です。

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※「大学の実力」では医・歯・薬・看護学部は国家試験合格率や臨床実習週数がある。

 並べてみると、入学とか卒業とかの情報は、定義は若干異なっていても掲載されているのですが、「大学の実力」はニッチな情報を載せているなという印象が強いです。言いかえると、あまり他の調査で聞かれない項目を掲載しているという印象です(読者からは面白いかもしれませんが、大学の調査担当からすると、一からデータを作るといった事があります)

 大学ポートレートは情報項目は多いのですが、大学によってはHPへのリンクのみの掲載だったり、他と比較しにくいのがネックですね。また文章での記載が多いですが、大学のホームページでも情報公開のページで同じような事が公表されています。

 

 最後に、このような調査は大学にはたくさん来ます。現在、学生は生活調査だけではなく学修行動調査など、教育の可視化などといった観点から調査疲れと起こしている場合があると聞きますが、大学も同様かもしれません。大学が調査に応じているのは、他大学も回答するだろうから、本学もしないといけないかなと考えているぐらいかもしれません。寧ろ、「同一県内やライバル大学達としめし合わせて調査ボイコットしましょう!」としたらどうなるでしょうか?

 

 また調査自体は否定はしないのですが、集約され公表されたデータ→情報をどう活かすかは各大学の評価・IR・企画系の人達の腕の見せ所なのではと思っております。(ローデーターもあるといいのですけど、この冊子の情報を打ち込むのはちょっとしんどいですね)

学科別ではない大きな枠、学部別入試の懸念事項

 先日、工学院大学に関して、「学部総合入試」を全学部で導入するとのニュースを目にしました。

univ-journal.jp

また工学院大学のプレスリリースは次ですね。

http://www.kogakuin.ac.jp/press_release/2016/cbr7au000005mxsq-att/cbr7au000005mxvw.pdf

 これを見ると、1・2年は全学科共通科目で3年以降から専門科目となり、次のメリットを押しています。

従来の受験時に学科を選択する入試方法では、入学後に自らの希望と専攻する学問の違いにミスマッチを起こす学生 も少なくありませんでした。そこで、従来の入試方法に加え「学部総合」入試制度を導入することにより、このような学科選択 のミスマッチを解消し、入学後に納得して自分の専門や所属学科を決めることが可能となります。

 確かに後で学科を選択できる事は、学科選択のミスマッチを減らすので大きなメリットです。しかし、工学院大学ならともかく、他の大学がこれを真似できるかというと、懸念すべき事がいくつかあります。

①資格関連の学科は、このような入試は非常に難しいのではないか。

 資格課程だと、大学設置基準とは別の基準の教員数が必要であったり、また資格によっては学科の入学者数を適切な教育や経営ができるように設定しています。資格課程をその学部全体に広げ、必要な先生方を採用するのは、あまり現実的ではないかと思います。

②(学科の受入者数のリミットがある場合)選考の実施の有無について

 (もし選考をやるのであれば)1つの学科に大幅に希望者が偏った場合はどうするのかは事前に明示しておく必要があるかと思います。

③人が集まらない学科を存続させる為の手段となってしまうのではないか

 「A学部のB学科・C学科・D学科があり、D学科の志願者が思うように集まりません。そこで学部別の入試にして、人気のあるB学科とC学科を餌にA学部の募集をして、3年のときに選考で、B/C学科に入れなかった人をD学科にまわそう」という事もできる訳です。

 ※工学院大学は志願者数等見る限り、順当なのでそのような事はないかと思います。

 

 中にはその大学に入りたい(学部学科はどこでもいい)とか、その学部に入りたいとか(以前、日本大学芸術学部に入りたい人がいて、演劇でも写真も何でもいいと言っていたのは印象的でした)があるので、そのような人にはいいかと思いますが、後で選べるんだといって、100%希望の学科に入れるかどうか、もしくは選考の有無について、事前に確認はしておく必要があるかと思います。

大学の父母(保護者)会のお金は何に使われているのか

 私自身が学生だったのはもう何年以上前の事ですが、無事入学試験に合格し、手続き書類が来ると、入学金や授業料、そして施設維持費だけではなく、色々細かい内容があったかと思います。今でも、例えば委託として、学費と一緒に集金している大学はほとんどでしょう。今日は、その中の一つ、父母会・保護者会と呼ばれるものがどのような特徴的な支出をしているかを、公開されている情報を基に見ていきます。

 

 今回、調べたのは、グーグル検索で「大学 父母会 決算」でヒットしたものをいくつかピックアップしてみました。

 ※父母会や保護者会という名称ではなく、保証人連絡会としている大学もありました。

同志社大学 商学部商学研究科

com.doshisha.ac.jp

 同志社大学 商学部の2014年度の決算を見ると、学部援助費として資格講座やグローバル人材育成推進事業といったものがあります。あと気になるのは、「学習状態連絡費」ですが、保護者向けに学生のレポートを発送する郵送費でしょうか(憶測です)

 

京都ノートルダム女子大学 保護者会

www.notredame.ac.jp

 平成27年度の収支予算書を見てみますと、学内花壇整備・図書館の図書購入費用・卒業修了記念品・クラブ活動補助・クリスマスイルミネーションなどがあります。あと学生支援として100円朝食差額負担分、就職ガイドブック、日経BP検索サービス等があります。100円朝食は一時話題になりましたが、例えば保護者会が一部負担をしているとニュースでも言っていたのを聞いた人もいるかと思います。

 

身延山大学保護者会(決算報告書平成25年度)

https://www.min.ac.jp/img/pdf/parents-h25h26.pdf

 身延山大学保護者会は環境整備費としてスクールバス運営費や奨学金が経常されています。

 

いわき明星大学

いわき明星大学:父母会

ここは学生支援費として、学園祭や部活動の活動費用、ワンコイン朝食などに支出しています。備考欄を見ると、部活動ではバスのチャーター代などにもなっているようです。

 

東北芸術工科大学(平成24年度)

http://www.tuad.ac.jp/images/students/h24hogoshakaikessan.pdf

 ここはかなり詳細に記載されています。学生の文化・体育活動等に関する事業は予算の内、約35%となっており、バスだけではなく、卒業制作の助成や花笠祭りに関する助成も見られます。

 

 学費と一緒に(例えば年間1万)集金されていても、父母会の運営だけではなく、他に活用、特に学生の教育環境の充実に活用されている大学は多いかと見ています。(父母会の収支は、大学(学校法人)と違って義務付けはありませんので、あまり公開されていませんので、あくまで勤め先や聞いた話での憶測です。)

<参考>100円朝食関連

www.tku.ac.jp

湘南校舎100円朝食実施のお知らせ – 文教大学 湘南情報センター/情報システム室

www.gourmetbiz.net