大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

高等教育関連の話題が中心。最近は補助金やIR、SDの話題が中心です。

IRと大学職員⑧レポート・報告書におけるチェックリスト

 今回のテーマは、IR担当者が行う分析報告の報告書についてです。前回の報告における気をつけている事項について今回は少し報告書をテーマ掘り下げたいと思います。 (事例としてご覧下さい)

as-daigaku23.hateblo.jp

今回はチェックリストとしていますが、中にはなくても良い項目もあります。

①報告書の目的について

●誰を対象としているか

 大学執行部でしょうか、教職員でしょうか、学生でしょうか。対象によって報告書で使用する文言や語句が異なります。また分析結果を記載する上で、様々な図表についてどこまで読み取れるかも想定する必要があります。

 ※相関とは何?この数値だと相関は強いの弱いのかは判断つかない、集団の分布の散らばりの程度は何処を見ればいいのかとか、そもそも何が分からないかが分からない場合も充分ありえます。報告会議で質問が出ない=対象者は分かっているとは限らない事は念頭に置いておく必要があります。

●どのように公開するか

  グラフとかフルカラーで出すと綺麗に見える場合もありますが、50ページもある報告書だとフルカラーで印刷できるかというと、費用面から難しい場合もあります。余裕があれば、フルカラー版と単色(あるいは二色)印刷版を作ってもいいのですが、手間がかかります。PDFのみでの公開であればフルカラーでいいかと思います。そうでなければ2色~3色にしておくと、コピー機の2色印刷(フルカラーより印刷費用が安価)とかあると、使いやすいです。例えば、黒と青にして、グラフは青の基本で作成するとかが考えられます。

 

②報告書の内容について

●目的やその集計分析のクエッションを記載しているか

 調査報告書であれば、調査の目的とその公表が報告書の目的となりますが、様々なデータを組み合わせ情報に変換(集計分析)し、報告書にまとめる場合は、それらの分析の目的を記載したほうが分かりやすいと思っています。なんとなくグラフだけ提示されて説明されるよりも、この集計分析の目的は●●です、このような現状から△△というクエッションが考えられるのでこの分析集計を行う、現状からこのような事が考えられるが数値を用いて証明する、

●使用したデータの説明、調査であれば対象者や回答者数といった情報はあるか

 どのようなデータを用いたのかはきちんと明示しましょう。同じメンバーに定例で報告しているのであればともかく、メンバーも変わるや久々に報告する事項だと、そのデータの持つ意味や調査内容はどのようなものかは報告書を見る側は覚えていない時があります。自分が前提としているものが、相手の前提にはなっていないという事をきちんと踏まえましょう。

●(可能であれば)集計分析結果の概要や要約は入れているか

 これを取り上げた理由としては、①忙しい人に膨大な報告書を渡しても読んでもらえないので、最低限押さえておくべきポイントをまとめる、②統計の知識を含め、グラフを読み取る能力は人それぞれであり、苦手な人もいる為、グラフや図表のみでなく、文字として要約があると伝わりやすい、といった点があります。相手が、比較的理解しやすく、簡易な方法でどのように伝わるかを意識しましょう。

 

③報告書の様式について

●文字の大きさは適切ですか?

 対象者の年齢も加味してください。人生経験が豊富な方達ばかりであれば、文字が小さいだけで読んでさえくれません。あとA4サイズの報告書であれば、全て文字でびっしりも厳しいです。文字の情報量が多い場合は、段組みや文字に下線・太字等、見やすくなる工夫もしましょう。

 

④その他

●集計等の一覧表は作成しているか。

 グラフがあれば、集計表は原則残っていると思います。集計表を報告書の中に入れるかどうかといった議論もありますが、報告書に入れない場合でも集計表はファイルにまとめるなどしたほうが後々楽になります。報告書を見て、この数字を詳しくしりたいとかの要望を受ける時もありました。自分は集計分析報告書と、担当者手持ちの集計表のみをまとめた裏報告書を作成しています。(というより、次に担当になる人が分かりやすいように報告書や集計表を作成するべきですね)

 

 分からない人に分かってもらうにはどうしたらいいか、どんなに良い集計分析であっても相手は理解しなければ意味がない、自分がやっているIRの目的に合えば必ずしも難しい分析を必要としない事(=統計分析を行う事がIRの目的ではない事)は頭の片隅に置いておかないといけないのだろうなと思います。自己満足の世界ではなく、例えば報告書を出す場合に、信頼できる人(集計分析の内容が理解できる人と、例えば若手など集計分析の背景・手法・結果があまり分からない人)に見てもらうなどしてみてもいいかもしれないなと感じます。

学びをするもしないも個人の自由~但し、最低限は学ぶべし~

 大学職員の学びについては、インターネットでも現実でも議論は絶えない訳ですが、議論については論者の個々の体験も反映しているケースが多いせいか、大学職員の学びという大きな世界でもありつつも、論者それぞれが自ら土俵を作っており、そこから降りてこず、ただ叫びあっているようにも個人としては感じております。とはいえ、この記事も、一土俵から声高々に叫んでいるに過ぎない事は承知しています。

 

 さて、この記事のタイトルは「学び」としております。「勉強」と思ったのですが、日本国語大辞典でそれぞれの語句の意味を調べると次のようになります。(文章例は省略しました)

「学ぶ」

(1)ならって行なう。まねてする。

(2)教えを受ける。習う。

(3)学問をする。物事の理を修めきわめる。

 「勉強」

(1)(形動)努力をして困難に立ち向かうこと。熱心に物事を行なうこと。励むこと。また、そのさま。

(2)気がすすまないことを、しかたなしにすること。

(3)将来のために学問や技術などを学ぶこと。学校の各教科や、珠算・習字などの実用的な知識・技術を習い覚えること。学習。また、社会生活や仕事などで修業や経験を積むこと。

(4)商品を安く売ること。商品を値引きして売ること。また、比喩的に用いて、大目に見ること。おまけをすること。

まあどちらを見ても、ブログ記事の大意にはあまり影響しないようでしたが、学びのほうが(2)と(3)の意味を見るとしっくりくるので、「学び」としました。

 

 さて、ようやく本題です。もうだいぶ前の事ですが、自分が中学~高校~大学の時は、「社会人になったらもう勉強しなくてもいいのだ!」と思っていました。親も、日曜日にたまに社内資格の勉強している姿をちらっと見るだけで、そんなに大変そうではなかったというのもあります。しかし社会人になってみてからは、社会人としての基本的な事から、その仕事に関する専門的知識を見につける必要がありました。まあ新卒時に入った会社の業界に関する国家資格は、就職活動に有利なようにと在学時に取得したのですが、資格の知識は何も役に立たないこと(余談ですが、この資格を取るために、通信教育を受けていましたが、1年間さぼり、1年間分の教材を1カ月でつめこんで資格試験に挑むという無茶をやったのも良い思い出です)。

 

 大学業界に転職してからも、大学時代に大学関係の仕事をしていたおかげで多少は知識はあったものの、知らない事が多く、関連する規程を読んだり、色々聞いて回ったり、関連する書籍や論文を読む事は必要でした(無論、今でも未だに必要です)。ここまでは私の経験ですが、個人的な意見を言うならば、学びは、組織が必要としているものを最低限見につけていれば、学ぶも学ばないも個人の自由なのではと思うのです。私は学びたくありませんといって、社会人に必要な知識や能力がないのは論外ですが、しいて言えば仕事が出来て結果を出せていればいいのではと思います。

 

 ただ学びをする事は、自分の今後の選択肢の数を増やす、また(増えた、もしくは)今ある手持ちの選択肢から希望の選択を引き当てる確率を上げるといった効果があると思っています。後輩には、仕事で必要な事は教えながらも、学びを広くや深くすればするほど、投資が必要になるので、その事を伝えながら学びについては本人が選択できるようにしていけるように心掛けています。

 (要は出世したり、希望の仕事をしたいなら、学んでアピールすればいいし、仕事は生活する為であってプライベートを充実させたいが第一であれば、最低限の学びでもいいという事です。)

IRと大学職員⑦報告(レポーティング)における気をつけている事

 IRの業務に限った話ではないですが、データ集計・分析等の報告をする上でいくつか気をつけている点があります。IRは、データ分析だけではなく、データの収集、データから情報への変換(データ集計・分析)、報告といった流れがあり、データ分析までがIRではありません。報告もIRの大きな役割です。それでは、一担当者が気をつけている事をまとめてみました。

 

①.報告対象者を見据えているか

・報告対象者はどのような立ち位置の人か(執行部?現場?)

 派生して考えると、相手の年齢層はいくつぐらいですか?たまに経験豊富な方々がほとんどの会議資料で、文字サイズは小さい時がありますので、その辺りも考慮が必要です。

・報告対象者のデータを読み取る力はどのくらいあるか?

 統計分析をたくさん行っても、報告対象者がその分析・意味を分からなければ、分析・報告する意味はないと思っています。例えば様々な分析を行っても、どこかで分かりやすく解説は最低限入れておく必要があります。

・二次報告者を見据えているか?

 分析したデータ報告は、IR担当者が直接報告を行った人からさらに別の方(二次報告者)へ報告をする場合があります。意味が分からない事は、IR担当者が直接説明できる機会があればいいですが、そうでない場合は、一次報告者が二次報告者に対して説明ができるような資料を作成する必要があると思います。

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②.報告書の様式について

・ページ数はどの程度か(適切な量か)

 様々な分析・探求的なデータ分析は否定するものではありませんが、全ての結果を載せると膨大な量になる場合があります。例えば分厚い報告書を出して、「○ページを見て下さい。次は○ページです」としてもいいのですが、報告書の最初に伝えたい事項・要約・サマリーがあってもいいのかなと思います。

・フルカラーについては注意

 データを扱う以上、グラフ等を載せる事は多くなります。ただ、あまりにカラフルなのも考慮が必要です。例えば、ページ数が多い場合はフルカラー印刷はコストが高いです。会議によっては、原則白黒コピーの会議もあります。その場合、IR担当者が会議の場で「赤の部分は○○です」といっても、報告対象者の手持ち資料は白黒かもしれません。フルカラーはPDF版や報告書はいいですが、例えば、グラフは色の濃淡で表現し、白黒印刷でも見えるようにする、二色刷り印刷に対応した報告書にするといった工夫が考えられます。(二色刷りだと、白黒印刷とコストがほとんど変わらない場合もあります)

 

③その他

・自己満足な報告書になっていないか

 例えば、分析手法を勉強して、色々分析をしてみるのは大事ですが、自分が分かることは相手も分かるとは限りません。

・事前調整はすんでいるか

 よくありがちな話ですが、分析になるとご専門の先生がたもおりますので、そういう人たちは調整(俗にいう根回し)が必要な時があります。自分の場合は、「これはどうですかね?」と教えてもらうと一緒にやっている時が多いです。

 

 何個か気をつけている事項について列挙してみました。組織文化によってもだいぶ違うかと思います。専門的な仕事になりがちだからこそ、相手をきちんと見て業務をすべきだなと感じています。

【コラム】「現場を見ろ」と言う事について

 仕事をする上で「○○を見ろ(見ておけ)」という言葉は誰しもがよく聞く言葉かと思います。例えば、現場・外・上・下・お客・・・etc。

 

 確かに「○○を見ていないのではないか」と思う場面もありますし、自分にも欠けている場合があるかもしれません。ただ一概に「○○を見ろ」は、言われた人は見ていないという同義語ではないと思っています。

 

 例えば、現場にAさんとBさんがいて、「現場を見ろ(もっと現場を見て欲しい)」とAさんがCさんに言う場合、Cさんは現場をBさんから聞いているかもしれません。もしくは間接的に見聞きしているかもしれません。

Aさんとしては次のいずれかがあっての主張かもしれません。

 ①現場を見ていない判断・提案だから、色んな人に聞いて欲しい。

 (Cさんの判断が見当違い、判断ミス。)

 ②現場を担当している自分に聞きにこないなんて、現場を見ているとはいえない

  (≒自分の意見が反映されていないのは、現場を見ているとはいえない)

 ③そんな判断・提案は自分は認めない。(本人の価値観による相違)

 ④Cさんは、社内外や将来を踏まえているが、Aさんには見えていない

 ⑤個人的にCさんが嫌(単に嫌がらせ)

まあ大概の場合は①か④でしょうか。でも言えるのは(⑤は論外ですが)、Aさんは④のケースもある為、視野をきちんと広げる、Cさんはどのように判断・提案をしているかをしっかりと納得できるよう説明・調整することなのではと思います。

大学の実力は何処で見るのか

 H28.9月に、次の2冊が発売しました。 

大学の実力2017

大学の実力2017

 

 

2017(平成29)年度用 大学の真の実力 情報公開BOOK (旺文社ムック)

2017(平成29)年度用 大学の真の実力 情報公開BOOK (旺文社ムック)

 

 「大学の実力」が9月中旬で、「大学の真の実力」が9月末の発売なので、ラスボス倒した後の裏ボスみたいだなと思うわけですが、内容はそれぞれ特徴があるものとなっています。

「大学の実力」は、質問の分野、学問系統、国公私立、都道府県といった記載がされており、系統別で比較した場合は非常に見やすい構成です(一方、大学全体を俯瞰するには適していません)

「大学の真の実力」は、質問の分野、国公私立、都道府県となり、その大学にある学部の特徴が分かりやすくなっています。(一方、同一分野での比較は、ページをめくりながら比較する必要があります。

 

 またそれぞれの媒体において、どのような情報があるのかを簡単に一覧にしてみました。また2冊の比較に加え、大学ポートレートで公表されている情報も入れております。

※大学ポートレートの項目の参照は下記のページです。

公表項目 – 大学ポートレート

 また一覧表はそれぞれの項目は定義や説明を見たうえで、数なのか比率なのかが分かりにくい場合、また内容が分かりにくい場合、名称を一部変えています。今回は項目(どのような内容か)を記載していますので、順番やカテゴリーを一部分かりやすいように変更しています。

 情報そのものについてはここでは言及しませんので、各自で購入の上、確認いただければと思います。

それでは、まずは大学全体の情報からとなります。

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続いて学部ごとの情報です。

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※「大学の実力」では医・歯・薬・看護学部は国家試験合格率や臨床実習週数がある。

 並べてみると、入学とか卒業とかの情報は、定義は若干異なっていても掲載されているのですが、「大学の実力」はニッチな情報を載せているなという印象が強いです。言いかえると、あまり他の調査で聞かれない項目を掲載しているという印象です(読者からは面白いかもしれませんが、大学の調査担当からすると、一からデータを作るといった事があります)

 大学ポートレートは情報項目は多いのですが、大学によってはHPへのリンクのみの掲載だったり、他と比較しにくいのがネックですね。また文章での記載が多いですが、大学のホームページでも情報公開のページで同じような事が公表されています。

 

 最後に、このような調査は大学にはたくさん来ます。現在、学生は生活調査だけではなく学修行動調査など、教育の可視化などといった観点から調査疲れと起こしている場合があると聞きますが、大学も同様かもしれません。大学が調査に応じているのは、他大学も回答するだろうから、本学もしないといけないかなと考えているぐらいかもしれません。寧ろ、「同一県内やライバル大学達としめし合わせて調査ボイコットしましょう!」としたらどうなるでしょうか?

 

 また調査自体は否定はしないのですが、集約され公表されたデータ→情報をどう活かすかは各大学の評価・IR・企画系の人達の腕の見せ所なのではと思っております。(ローデーターもあるといいのですけど、この冊子の情報を打ち込むのはちょっとしんどいですね)