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私立大学等改革総合支援事業による大学改革の推進について

現在、順次、私立大学等経常費補助金説明会が開催されています。

その説明会に、「私立大学等改革総合支援事業」も併せて説明がされておりますが、「私立大学等改革総合支援事業」とは文科省HPによると下記の通りです。

【趣旨】
 文部科学省では、平成25年度より「大学力」の向上のため、大学教育の質的転換や、特色を発揮して地域の発展を重層的に支える大学づくり、産業界や国内外の大学等と連携した教育研究など、私立大学等が組織的・体系的に取り組む大学改革の基盤充実を図るため、経常費・設備費・施設費を一体として重点的に支援する「私立大学等改革総合支援事業」を、日本私立学校振興・共済事業団と共同して実施します。

この補助金の予算額は、平成25年度は178億円(経常費122億円、活性化設備費45億円、施設・装置費11億円)でしたが、平成26年度は201億円(経常費144億円、活性化設備46億円、施設・装置費11億円)と経常費が大幅に増額されております。

 

(補助金の説明については、今回は取り上げませんが)この増額された経常費とは、私立大学の補助金の経常費を一定割合(10%程度)を増額することであり、増額分についてはこの「私立大学等改革総合支援事業」の採択数がH25の367校から、今年は400校程度を想定してのことでしょう。

 

さてこの事業は、タイプがいくつか分けられ、そのぞれのタイプに応じて採点表が設けられれ、それに各大学が取組みに応じて採点・申請をする形になります。

採点表参考(H25)(2019/6/28リンク切れ)

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/002/002/__icsFiles/afieldfile/2013/10/18/1340519_01_1.pdf

 

昨年は、

○ タイプ1「建学の精神を生かした大学教育の質向上」(大学教育質転換型)
 <250校程度>
 全学的な教学マネジメント体制の下、建学の精神を生かした教育の質向上のためのPDCAサイクルが実践されている大学を支援する。特に、学生の学修時間の確保のための取組として、シラバスへの学修時間等の明記、学修時間の把握等の取組を重点的に評価する。

○ タイプ2「特色を発揮し、地域の発展を重層的に支える大学づくり」(地域特色型) <150校程度>
 地元自治体、産業界等との連携の下、地域が求める人材の育成、地域貢献、生涯学習機能の強化など、特色を発揮し、全学的に地域の発展を重層的に支える大学を支援する。特に、地元産業界等と連携した教育プログラム(正規の課程の他、社会人の学び直しのための履修証明プログラムを含む)の実施を重点的に評価する。

○ タイプ3「産業界など多様な主体、国内外の大学等と連携した教育研究」(多様な連携型) <100校程度>
 全国的な産業種別団体、先端的な技術等を有する企業等や国内の大学等と連携した高度な教育・研究を行う大学、海外大学との連携等により、世界的に活躍できる人材の育成等に取り組む大学等を支援する。

 と3つのタイプでした。

 

今年はタイプは4つになっており、

○タイプ1「教育の質的転換」300校

○タイプ2「地域発展」150校

○タイプ3「産業界・他大学等との連携」50校

○タイプ4「グローバル化」100校

と別れております。

詳細は下記を参照(2019/6/28リンク切れ)

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2013/11/08/1341277_11.pdf

 

さて、今年度の採点表については、今年はまだ詳細が文科省HPに掲載されておりませんが、昨年度取組みが多かった項目は得点を減らす設問や、例えば高大接続など新規に設問も追加されているようです。

 

また今年度は9月10日が調査票の締切となっており、制度の有無を問う質問であればH26.8.31現在となっておりますので、実は8月末までに制度を整えて点数を上げることが可能です。(おそらくこの数か月の間に、これを狙う大学は改革や協定等を進めるのでしょうね)

よって例えば昨年はタイプ1は、選定ラインが100点満点中68点でしたが、もう少し選定ラインが上がるのではないかと予測されます。(他のタイプも同様)

 

さてここまで概要でしたが、なぜ「私立大学等改革総合支援事業」に応募する大学が多いのしょうか。

まず例えばCOCやAPとは異なり、経常費が増額されることにあるでしょう。2つ目として、以前本ブログでも述べたと思いますが、大学改革の軸となる(進めるための)やらなければならない理由になる、3つ目として私立大学等教育研究活性化設備整備事業(100%補助)がある。大概設備補助は50%が上限が多いですが、100%であれば自己投資が非常に少なく済みますので、小規模中規模大学は喉から手が出るほどほしいでしょう(50%補助だと、今年度の予算がない場合は申請が非常に難しい)

 

まあ、設問表にある事を今後行わない大学は淘汰されてもしょうがないと文科省は言いたいのではと思います。

 

よくお金のために大学を変えてしまうのかと言われますが、経営側から見るとこのようなお金を取ることによって、例えば教員1人あたりの学生数を少なくしたり、教育設備を充実させることができるのです。

(実はこういう事を、マネジメントするもしくは執行部をサポートすることは職員としての大事な仕事であると思っております。)