大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

高等教育関連の話題が中心。最近は補助金やIR、SDの話題が中心です

参加録 マネ研サロン「IRとは何か」

大学マネジメント研究会の「IRとは何か?戦略的大学経営とIRの効果的な実践」に参加してきました。

 

取り急ぎ簡単ですが記録として下記に載せます。

講師はポストセカンダリーアナリティクスの柳浦 猛氏です。

 

⚪︎アメリカの大学の課題

高まる運営費、高騰する学費→お金がない学生は下の大学に流れていく
特に大学ランキングが社会問題である。ランキングは学生に受けが良く、いくつかの指標で
ランキングされている。ランキングが下がると学生の人気がすぐ落ちてしまう。
→学生獲得競争の激化
地方の大学はさらに人口減少も進んでいる。
教育を売りにしているプログラムでも需要が減って学生が来ないという状況もある。

実は日米では大学の課題についてあまり変わらない。

⚪︎アメリカの大学の危機対応パターン
投資拡大型(オンラインコース提供や新しい学部の立ち上げ、マーケットの拡大、不動産事業など)組織改善型(自分の内側をみて、行動が効率的かを問う。奨学金の効用最大化や学生獲得努力などが大学にとって最適なのか)
コミュニティ対応型(地域の企業との連携など、寄付金獲得、収入を増やす)

⚪︎IRとは何か
大学の戦略や意思決定のサポート
意思決定をする際は何らかのデータがあるという組織がIRの目指す形である。

⚪︎何故IRは必要なのか
大学の対応策はユニークではなく、どこも類似している。差は、いかに目標を達成しているかどうかである。
組織運営を見直し、組織の効率化を最大化する。
組織改善型にはIRが1番関われる事ができる。

⚪︎IRが支援できる意思決定
学生獲得戦略、奨学金戦略(大学のミッションを果たすためにどのような学生に奨学金を与えるか)、リメディアル教育(コストにみあったものか)、大学予算(一人当たりの学生費用や費用構造と大学のミッションとの関係)、エンロールマネジメント(入学から卒業まで)

IRはどこでも関われる。データがあれば関われる。

⚪︎IRの位置づけやミッション
アメリカのIRは、アメリカの大学の組織構造にフィットしている。
日本の大学や自大学の組織構造や意思決定はどうなっているかを考える必要性がある。(誰が意思決定しているのか、誰が支援しているのかを考える必要性)

⚪︎アメリカは理事会と学長や教授会の共同経営モデル。
理事会は大学のオーナー、理事会はパートタイムで月に1回集まり審議して経営に関わる。
学長は理事会から任命されて、執行部の組閣を行い、予算案の作成も行う。
教授会はカリキュラム、教育方法や教員採用は行うが経営に対して意見を述べるだけである(諮問機関である)

アメリカは学長以下のヒエラルキーが徹底している。
アメリカの学部長は学長一派である。アメリカはアドミニストレーターが多い。

⚪︎日本の大学のIR
日本は執行部が教員に対して弱いので、IRはアメリカほど守られていない。
IRを設置だけしてもダメである。日本は最終責任の所在が曖昧であり、意思決定のプロセスが明確でない。(アメリカは意思決定者が比較的明確で意思決定プロセスがわかりやすい)

⚪︎IRの初期段階で行うこと
①ミッション設定で文書化することが重要。何を目指すのかなどを文書化する。
②他部局との折衝(どこにどのデータが存在するかを理解する、部局がどのようなデータを欲しているかを理解する(どのような分析をしてほしいか)、統計データの定義確認(重要なのはデータの一貫性であるため、定義の理解が必要)データシェアに関する合意形成)
③IT担当者との折衝(ウェブやデータベースの専門家を味方につける)
④人材配置や採用
⑤長期スケジュールや目標設定
⑥データ辞書の作成、学内データ整理(重要!)
日本では教員が主体の場合が多い。教員が異動すると今までの積立がなくなってしまう(きちんと引継ぎができるようにする)
事細かにデータのあり方などについて文書化する必要がある。

⚪︎初期段階のIRのゴール
①IRが大学のデータに関して、誰よりも詳しい存在になる。
②学内政治から距離を置く(中立性を保つ、データに忠実であることが必要、意図的な分析やデータの拡大解釈をしない)
③まずはファクトブック(大学の重要データの統計データ集)を作る
執行部が必要だと思われるデータ集の発行。
④大学のデータに関して、全て文書化する

⚪︎現在の日本のIRの課題
①データ分析を行う環境が整っていないままIRが行われている。
②執行部の支援が不十分
③学内に様々なデータベースが乱立している。
データの漏洩ポイントが無数あったり、タイムリーな分析ができないなどの問題がある。
→人を介さないでデータのやりとりができるようにするのがベスト
④IRに対する過度な期待

※アメリカのIRはデータウェアハウス構築を行って、IRが取り組まれている。
※日本のIRはシステム的な課題も大きい。

⚪︎今後の日本のIRの課題として
①大学のデータ分析機能の強化
②データウェアハウスの構築(人を介さないデータのやりとり)

⚪︎IRの人材育成
日本ではアメリカのIRディレクターのスキルとは若干異なる。
コミュニケーション能力や教員との対応なども必要。
キーパーソンはビジョンを具現化するスキルを持った人の確保が大事。エントリーレベルのIRの確保はできる。

中級レベルのIRはOJTで育成するのは難しい。
もし外から集めるなら高等教育関連から集めるのが望ましい。

⚪︎アメリカのIRの今後
IRが集中ではなく、分散化しつつある。(分析できるシステムの出現)
今後はデータガバナンスがキーワードであり、リーダーシップ能力が必要。

⚪︎日本のIRの方向性
①IRがアクセスできるデータ環境を改善
②IR担当者のデータ分析能力向上
③人事制度の見直し
④データ辞書の作成


今回の内容は、理論ではなく、実務をされている柳浦先生が日本でのIRについての課題を整理され、今後大学がIRを行っていく上で有益な示唆になるものであると思います。

特にIRの初期段階で行うことやゴールについての考え方は、大学としてIRを進めていくうで役に立つと思います。

そして1番記憶に残ったのは、基礎が大事であり、テクニックや統計の分析にすぐ走らないことですね。




 

 

 

 

 

 

 

 

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