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大学教育部会資料「大学教育の質保証の在り方に関する論点」~大学職員とIRの観点から考えてみる~

さて、平成26年10月7日に大学教育部会が開催され、その中の資料として、「大学教育の質的転換を促すための大学教育の質保証の在り方に関する論点(例)」があり、わかり易くまとまっていましたので、資料記載項目の「今後の検討事項」の項目の一部を紹介しつつ、少し自分の意見を含めまとめてみたいと思います。なお、太字の箇所は資料からの引用です。

 

1.内部質保証について

○学位授与方針に基づいた科目内容の体系化

 大学としての学位授与の方針、学部としての学位授与の方針が整備されているか。またカリキュラムマップ等が整備されているか(←カリキュラムマップ≠カリキュラム表ではないので、カリキュラムマップの概念を教職員で共有する必要

○学修成果の把握・評価と改革サイクル確立を推進するための方策

 ポートフォリオを導入する場合は、職員の力も不可欠であるが、ポートフォリオシステムの会社はたくさんあっても、安くはない。現存の教学システムとの連携なども確認する必要がある。またIRにも活用するために、ポートフォリオのアウトプットについても検討する必要がある。

○FDの充実方策、評価やIRのための専門スタッフの確保・養成

 AP(大学教育再生加速プログラム)では、申請要件にFDの参加率は75%以上となっている。しかし、大学設置基準第二十五条の三において、FDは義務化である。よって国としては、75%とはいっているが本来はFDの参加率は100%が大前提。FDの充実は回数や参加人数ではなく、内容や方法といった質が問われるのではないだろうか。

 IRの専門スタッフは、九州大学の大学院に一部科目があるほかは養成する場所はほとんどない。大学評価コンソーシアムなどもあるが、IRの前線の方々が手探りをしながら道をつくっているように見られる。そもそもAIRのHPには多数の求人があり、アメリカでもIRスタッフが足りていないと聞く。私立大学等改革総合支援事業のタイプ1ではIRを専門とする部署(専任の教職員がいることが条件)は加点があるが、私立大学でIRを専門とする部署をつくって人をどのように確保するのかは、特に中小規模の大学では課題である。よく新しい分野に取組もうとすると外から人を持ってくればいいと言われる方が周りにいるが、そもそも日本国内にIR人材は少ない。個人としては、興味さえあれば日本ではこれからの分野であるので、興味ある職員はインプットと実践に取組むと専門性としてかなり力になる(その為、ツイッターでも呟いたが、インプットの一つとして県内のIR担当者数人で毎月定例で勉強会を10月より開催予定)

 

2.設置基準

①FDの充実、SDの義務化、高度専門職の充実

 SDを義務化といっても、何をもってSDの義務化とするのかを明確にする必要がある。SD論は様々あるが、ある大学がOJTをSDと言えばそれでOKになってしまうのだろうか?いろんな大学の方に話を聞くが、現場ではあまり現状は変わらないのではという印象がある。高度専門職についても、そのような人事制度を想定する必要がある。(制度だけでなく、評価もどのようにするかが課題)

 

3.認証評価

①学習成果や内部質保証を重視した評価の在り方

 先日の大学基準協会総会資料を見ると大学基準協会の第3期認証評価は内部質保証やアウトカムが問われる。IRはPDCAに深く関与するため、IR担当者は年度ごとの業務だけではなく、認証評価第3期にも目を向けなければならない。

 

資料の中で一部を取り上げてみました。この資料は、文科省のホームページにこれから掲載されるかと思いますが、内容が論点がコンパクトにまとまっていますので、掲載されましたらぜひご覧いただきたいと思います。