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IRと大学職員②〜IRの定義から考える拒否反応〜

最近、IR担当者の方、それも私立大学の職員さんとお話をする機会が多いです。
その中で共通するのは、IRを補助金の要件として設置はしたけれどどうしようという悩みがある事です。

また職員としてどのようにIRに関わればいいのか?とも聞きます。

アセスメントポリシーが、質的転換答申に出てから、最近徐々に姿が見えてきていて、おそらくアセスメントポリシー、さらにアセスメントプランにおいてもIRは重要な役割を果たすものだと思われます。
参考(質的転換答申 用語集をご覧下さい)

アセスメントは教育に関わりますし、大学によって特に職員にとっては踏み込みにくい分野ではないかと推察されます。

アセスメントは、職員に関する部分であればアメリカIR協会のAIRが発刊した著書「IR実践ハンドブック 大学の意思決定支援」リチャード D.ハワード編によると次のように記載されています。
大学における評価(エバリューション)とアセスメントの活動は教職協働で発展させなければならない。
またアセスメントと評価の意味は次のの通りです。
アセスメントは改善の為、評価(エバリューション)は説明責任のための語として捉えることができる。

さて職員がIRについて、どう関わればいいか分からないというのに、IRの定義があるのではないかと考えています。

IRはよく「機関研究」や、「大学の政策策定、意思決定を支援するための情報の収集、分析及び報告を行う調査研究」と言われていることが多いのではないのではないでしょうか。

職員の立場からすると、研究とつくと、教員の世界の事であり、職員が立ち入ってはいけない不可分領域であると捉える人がいると考えます。またIRが高等教育研究の一部であると捉える部分もあります。

この点については、同志社大学の山田先生が大学評価研究 第10号(2011)「米国におけるIR概念と活動から見る日本型教学IRの可能性」で以下のように述べています。
高等教育研究とIRはどちらもデータベースとして実証的な研究を行う点では共通点がみられるが、高等教育研究がそうした分析から普遍的な理論を見出し、知識を発展させ、学問として体系化することを目的とするのに対し、IRは組織や大学機関単体の意思決定支援に役立つような特殊な情報を提供することに重きが置かれている。
IRが研究とついていても、実は上のIRに関する部分を職員は第一に考える必要があるのではないかと思います。

大学職員の方々では研究に意欲的に取り組まれていらっしゃる人もおりますし、そのような方を尊敬しています。ただ、IRをどのように行うか、もしくは各大学で定義付けを行うかで研究という2文字は、出てくると思います。(そこに拒否反応を示す職員が多いのは事実です)

IRは、研究がついているから大学職員の仕事ではないというのではなく、どのように組織等の意思決定支援を進めるかを考えなければならないと思います。