大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

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卒業要件の厳格化①~卒業要件とは何か~

先日、文部科学省が卒業要件を厳格化すると報道がなされ、賛否などがツイッターといったネットで意見交換されておりました。

さて、このニュースは下記がリンクとなります。

<大学>卒業要件厳格化へ…15年度に省令改正 文科省方針 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

このニュースから引用すると、言われているのはこの箇所でしょう。

文部科学省は大学入試改革の一環で、各大学に対し入学者の「受け入れ方針」(アドミッションポリシー)や卒業させる学生像を明確に定めた「卒業方針」の策定を義務付ける方針を決めた。~中略~学生の「卒業方針」は、各大学が学生に身に着けさせる学問やスキルを示し、社会に送り出す具体的な卒業生像を書き込む

さて、この記事を見た際に、私は卒業方針という言葉に違和感を感じました。何故なら、ほとんどの大学で作成している「教学・教務等の手引き」には、卒業するにはどうすればいいかという説明がされています。

「(例)大学を卒業するためには、4年以上在学し、学科・専攻ごとに定める教育課程に従って授業科目を履修し、以下に示す所定の単位以上を修得しなければなりません。」また一部の学部では、これ以外に資格取得を卒業要件としているものもあります。

また大学を設置するにあたり、必要な最低の基準を定めた省令「大学設置基準」では、卒業の要件を次のように記載されています(大学設置基準 一部抜粋)

(卒業の要件)

第三十二条  卒業の要件は、大学に四年以上在学し、百二十四単位以上を修得することとする。

2  前項の規定にかかわらず、医学又は歯学に関する学科に係る卒業の要件は、大学に六年以上在学し、百八十八単位以上を修得することとする。ただし、教育上必要と認められる場合には、大学は、修得すべき単位の一部の修得について、これに相当する授業時間の履修をもつて代えることができる。

3  第一項の規定にかかわらず、薬学に関する学科のうち臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とするものに係る卒業の要件は、大学に六年以上在学し、百八十六単位以上(将来の薬剤師としての実務に必要な薬学に関する臨床に係る実践的な能力を培うことを目的として大学の附属病院その他の病院及び薬局で行う実習(以下「薬学実務実習」という。)に係る二十単位以上を含む。)を修得することとする。

4  第一項の規定にかかわらず、獣医学に関する学科に係る卒業の要件は、大学に六年以上在学し、百八十二単位以上を修得することとする。

5  第一項の規定により卒業の要件として修得すべき百二十四単位のうち、第二十五条第二項の授業の方法により修得する単位数は六十単位を超えないものとする。

 ほとんどの大学(学部)は「卒業の要件は、大学に四年以上在学し、百二十四単位以上を修得することとする。」に該当すると思います。(まあ5年以上でも130単位を修得が卒業要件としてもいいと考えることもできます)

 

さて、今述べた大学設置基準での卒業の要件は在籍年数や単位数ニュースにある卒業方針は身に着ける学問やスキルと異なります。

ここで思うのは、ディプロマポリシー(学位授与に関する方針)とどう違うのだろうという事です。(平成20年に出された学士課程の答申で、各大学はディプロマポリシー(学位授与の方針)を明確にすることが記載されています)

学位授与の方針とは、卒業までにどのような能力を目指すのか、学生が達成すべき学習成果を設定したもの(大学の教務Q&A 用語集より引用)ですので、実はニュースで言われている卒業方針と学位授与の方針はほとんど変わらないように考えられます。

 

では何故、卒業方針という言葉が出てきたかというと、文科省中央教育審議会、大学部会の大学教育部会の議論でアドミッション・ポリシー等に関する論点が検討されています。

大学教育部会:文部科学省

ここでは、アドミッションポリシー(学生の受入れ方針)、カリキュラムポリシー(教育課程の編成方針)、ディプロマポリシー(学位授与の方針)を大学設置基準における義務規定として規定することが論点です。

 

おそらく、このあたりの議論から卒業方針というニュースが出たのではと推察します。

 

学位授与の方針は定めている大学は、大学のホームページ等で見ても、公開している大学は少なくありません。決して、新しく出てきた論点ではないのだと考えています。

今回は卒業要件の厳格化についての内容ですが、次回及び次々回については、厳格化やIR等の観点から、少し突っ込んだ内容になる予定です。