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大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

高等教育関連の話題が中心。最近は補助金やIR、SDの話題が中心です

参加録「大学マネジメント研究会第18回総会・創立10周年記念講演会」

2015年3月28日(土)に開催された「大学マネジメント研究会 第18回総会・創立10周年記念講演会」に参加してきました。

自分自身も、この大学マネジメント研究会には正会員になっており、イベントにはあまり出られないものの、毎月発行される「大学マネジメント誌」は愛読しております。
(個人的には年に12回届くだけでも、年会費1万円の価値はあると思っています)

今回は創立10周年記念講演会という事もあり、講演が2本ありました。(総会と周年が合ってないのは、以前は年に2回総会をやっていたからですね)なお参加者層は、役職のある方が多いようです。

今回も自分なりに気になった点について、メモをまとめてみました。

記念講演Ⅰ 「日本の教育:課題と展望」 安西祐一郎先生((独)日本学術振興会 理事長)
・社会改革としての教育の大転換。課題として、主体性をもって多様な人々と協力して学び、働く力を持てるためにはどうしたらいいか?展望として、2020年までに高大接続システム改革(→昨年末の答申←入試改革だけを捉えがちの答申だが、入試改革ではなく、社会改革が内容である。)
特に学指導要領の改訂、高大接続システム改革(特にシステムとしているのは、改革するのは一つではないということ)

・現在は受け身の教育から能動的な教育へ。教育の国際競争の中で教育の方法も変化しつつある。小中学校では能動的な学習は進みつつあるが、課題は高校と大学である。大学の先生は高校の実状をまだ把握はできていない(次の学習指導要領はどうなるか、大学は把握しているか?)

・日本は一人当たりの労働生産性が低く、さらに少子化で子供が減っている。人の役に立ち、幸せになるように日本の教育はしていかなければならない。

中教審「高大接続改革」答申の趣旨について→主体性をもって、多様な人々と協力して学び、働くことのできる力
 学校教育法では幼稚園から「主体性」は入っているが、多様な人々は入っていない。(他者と協力して新しい事を作り上げる力は、ほとんど学校教育法には書かれていない)
 「学力」とは何か→大学は知識と捉える人は多いが、文科省は基礎的な知識や技能、課題解決の為の思考力・判断力・表現力等の能力、主体的に学習に取り組む態度(言葉の使い方の混乱がおきている)
 知識と技能は異なる。
 次の学習指導要領は、学習内容に加え、学習方法や学習評価にも書き込めるかを議論する諮問が出ている。
 主体性は、自分の目標を自分で見いだし、実践する力になる。また答えのない問題に答えを見出す力をもたらす。
 ポテンシャル以外(知識技能や思考力等)は、今後開発実施する国の共通テストである程度担保できる。

・チームワークの課題解決は仲良しグループでは意味がない。異なる人と行う事が必要。また臨機応変力といった答えのない漠然とした状況で迅速に的確な判断をし、行動する力も今後必要。

・上記の力を育てる事例として、日野市立平山小学校、フューチャースキルズプロジェクト

・高大接続改革①高校の教育改革、②高校の基礎学力テストの導入、③大学教育改革(多様な学生が入った際に対応できるカリキュラムをつくれるかなど)、④多角的評価による入学者選抜、⑤大学入学希望者の学力評価テスト(仮称)(国で導入するので、その成績を入試の時に加味してはどうか?)

・高大接続実行プランが出ている

・教育の新しい世界 ①地方創生、②ICTを用いた教育、③グローバル社会に適した教育、④外国語教育、⑤職業教育、⑥主権・公共共に関する教育、⑦STEM教育、⑧全世代にわたる教育、⑨ビジネスピープルのための教育、(10)教育潮流の世界的変化、(11)発展途上国における教育、(12)全ての人への教育の機会

・学校教育が変わるとともに、社会教育や家庭教育は変わっていくのか?
→一緒に変わっていくと考えている。大学入試にメスを入れることによって、色々変わると思う。
・大学教育でどのように教員が教えていくか、どのようにマインドを変えていくか
→大学の教員は自身が変えようとしないと変わらない。周りで誘導していく方法はあるが、大学改革を職員や地域の方で行っていく事も必要。先生が変わらない大学は、徐々に選ばれなくなっていくのでは。
・入試改革が進んだときにカリキュラムレベルでの改革も求められてくるかと思うが、国として求めるのか?
→入試改革だけしても意味がない、カリキュラムやディプロマポリシーも改革しないといけない。国として定量的な明示をしないといけないとは思っている。


スライドが60ページもあり、かなり資料を省略した講演でしたので、メモも分かりにくいかと思いますが、現在議論になっている事の概要をわかりやすく確認できたのが印象でした。高大接続答申は、読まれた方は当然の事と思いますが、ニュースでは入試改革のみピックアップされていますが、今までの答申から続いており、大学改革は進めることは変わらないということは是非とも頭に入れておかないといけないと思います。


記念講演Ⅱ「グローバル人材に育成に向けてー大学のグローバル化と変革に必要な視点」山中伸一氏(文部科学事務次官
・日本の教育で大きな影響は人口減少である。2060年には8700万人程度の予測。例えば社会の変化としてトヨタの車の販売台数は、国内と海外の販売比率では、現在は8割は海外の販売比率となっている。輸出先も多様になっており、ヨーロッパや北米から、アジアやASEAN新興国、アフリカが増えている。→これらの国とどう付き合うのかが課題

グローバル人材育成の必要性として、上場している企業で海外現地生産を行う企業の割合が増えている。そこで働く人を育てるのは教育の役割であり、人材の半分を養成しているのは大学である。

グローバル化する社会で、大学は教育の場であるという事を真剣に考え、教育の質を高める必要がある。→国がやってきたのは、大学のガバナンス改革(大学が決めることができる仕組み)、組織改革(部局の見直しや教職員の育成)、教育改革(カリキュラムマネジメントの確立、アクティブラーニングの推進)、優秀な人材の育成や確保

・スーパーグローバル大学→指標を作り、外国で学位を取得した教員の割合やシラバスの英語化、ナンバリングなどがあるが、項目によって達成目標の数値が異なる。(ナンバリングは100%だが、外国語のみで卒業できるコースの在籍者割合やテニュアトラックの達成目標は低い)
→タイプA(トップ型)に採択された大学は過去にもグローバルを進めてきた大学。大学は行動する時代で待っている時代ではない、金(補助金)があるからやるという時代ではない。

和歌山大学では、コミュニケーション能力、日本の文化伝統、英語を学ぶコースで、フィールドスタディで体験をする(←学生に何で学んでいるのかの動機付け?)

・大学には、一部の教員ではなく、組織として動いていただきたい。(国立や大きい大学は難しい、また私学のほうが危機感は強いので動きやすい)今の国立大学(旧帝国大学以外)は、GHQの政策で作られた。多くの地方大学は一つの目標をもった教育機関であった。今の地方国立大学の地域で果たしてきた役割はもう一度考え直して強みを出していくことが、大学のミッションを果たしやすいのではないだろうか。

・運営する立場にいた人が学長になったほうが良い(運営をした事がない人が学長になるとマネジメントはどうなのか、大学の中でマネジメントをする人を育てる事が必要)今までと同じ大学経営では、時代の変化に対応できない、その為には事務組織に専門組織や専門職を作る必要がある。これからは法務やIRなど専門職が求められてくる。これから大学改革を行うために何が課題なのか、それに対応するために事務や組織として何をしたらいいかを考えていただきたい。

・中間層の大学が伸びないとグローバルにしないといけないが、中間層についてどのように考えているか
→トップ層の大学でも世界で活躍できるかどうかははっきりしていない。中間層も変えないといけないが、まずは中学高校の教育や進路指導を変えないといけない。
・専門職人材について、職員(現場)では細かい仕事はできるが学びはしない。中間管理職も実践だけではなく学びをしない。教員を言われるのは、教員に事務的な事を押し付けると言われる。
→大学は学歴社会と感じている。博士や修士を持っていると事務でも尊敬される。桜美林などに大学政策の研究科があり、事務の専門家も武装していく必要がある。また専門職の人を雇ってはどうか(例:ロースクールを卒業した人など)大学の事務局の研修も、組織的に力を入れていく必要があると感じている。

この講演では、組織としてという事を繰り返しおっしゃていたのが印象的でした。認証評価でも組織としてどうなのかというのは求められていますが、事務組織や職員として何ができるかも考えないといけないと思います。特に多くの学部や複数のキャンパスを持つ大学は、異動がある職員が果たせる役割は大きいのではないかと思います。また大学マネジメント研究会の本間会長がおっしゃてた、企業なら分からないことは学ぶのが普通であるのに大学は役職に任じても必要な事を学ばない姿勢について問題提起がされており、若手中堅の職員は大学業界で働いていく上で必要な姿勢だと思います。(昨日、ある大学職員と話をした際に、大学業界で生きていくと決めた人は特に重要かと思います)