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大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

高等教育関連の話題が中心。最近は補助金やIR、SDの話題が中心です

大学の新学部等設置 月別届出数の傾向~PR活動と募集の観点から~

 昨日、大学の学部設置に関するニュースが出されました。 

毎日新聞 ホームページより

文科省:新学科設置など大学・短大49校の届け出受理」

http://mainichi.jp/select/news/20150624k0000m040030000c.html

なお、ソースとなる文部科学省の該当発表資料はこちらです。

設置届出状況(月別):文部科学省

 

さて、今回のタイトルは「大学の新学部等設置 月別届出数の傾向」です。とはいっても届出とは何かという事から話をしていきたいと思います。

今回のコンテンツ

1.学部を設置する際にみる「届出」とは何か?

2.大学の新学部等設置 月別届出数の傾向

3.何故、特定の月に届出数が集中しているのか?

 

1.学部を設置する際にみる「届出」とは何か?

 今回のニュースでは、新学科設置など届け出受理となっています。そもそも、大学が学部等※を設置する際は、「認可申請」と「届出」の2種類があります。詳しい説明はここではしませんが、(あまりうまい例えではありませんが)イメージとして、新しく家を建てるのが「認可申請」、既にある家を改築やリフォーム、もしくは古い家をばらして新しい材料なども加えながら家を建てるのが「届出」です。

 

 また、「認可申請」と「届出」では、国に書類を出した際に審査も大きく違います。「認可申請」では、そこに所属する教員の業績(科目を担当するのに著書や論文があるか)など細かい所まで見られますが、「届出」は既に認可されたものを基盤としている事が前提ですので、教員の業績書類は出す必要もありません。よって、大学(特に設置)関係者は、新しく学部を作るのではなく、改組をして届出で申請をしたいと思う人はすくなくないはずです。

とはいっても、届出で設置が確実にOKかは、申請大学が判断を出せるものではありません。大学の設置には事前相談が必要に応じてできますので、事前相談の際に「届出で大丈夫ですかね?」と書類を出して、「届出OK!」が出て、事前相談書類をほとんど変更せずに届出書類を出した場合のみ、確実に「届出」で学部等を設置することが可能です。(逆に、大学で届出でOKだと思って事前相談せずに届出で出しても、これは認可申請でないと認められないと言われる可能性もあるでしょう)

 

届出」は、書類を出した約2ヶ月後(60日以内)に受理されたかどうかが分かりますので、先日のニュースは6月発表ですから4月に書類を出したものである事がわかります。

※学部等は、学科や研究科も含みます。

 

2.大学の新学部等設置 月別届出数の傾向

 届出は、年に1回ではなく、複数の書類受付期間が設けられています。例えば今年度は、4・5・6・7・9・10・11・12月の定められた期間に届出書類を文部科学省に提出する事ができます。

 そこで、平成22~平成27年に開設予定の届出数を月別にグラフにしてみました。(数値は、文部科学省ホームページの設置届出状況(月別)から引用)

引用 設置届出状況(月別):文部科学省

また本グラフの数字が、学部学科だけでなく研究科の設置も含めた数を記載しています。

f:id:as-daigaku23:20150626113425j:plain

 グラフを見ると、いずれの年度も4月に多く届出がされていることがわかります。

 4月が届出書類受理期間の最初ですが、6月申請も多いことが分かります。また平静26年度及び平成27年度は届出数は減っていることも読み取れます。(届出制度自体は変更はなくとも、例えば教職課程の申請や、安易に看護学部が設置できないなど様々な変化がありました。一言で言えば、制度の裏をかいくぐって設置してきた大学があった為に色々厳しくなったという事ですね)

 

3.何故、特定の月に届出数が集中しているのか?

 2のグラフでは、4月と6月に届出が多く集中している事がわかります。ではこれは何故でしょうか。まずは学部を設置する際に定められている学生募集について簡単に説明します。

 新しく学部を作る際に、学生募集やPR活動については細かく決まりがあります。例えば、電車内の大学のポスターで「平成28年度 ○○学部 設置構想中」と書いてあるものを見たことはあるのではないでしょうか。ここでいうPR活動とは、高校への説明会やメディア媒体等へ新しく学部等をつくるよとPRすることを指します。そこでは「設置認可申請中・設置届出書類提出中」を記載する必要や、学部等名称や教育内容は予定であり変更もありうるなどを記載が必要です。また募集活動は、募集要項の配布、出願受付、入学試験を指します。

 

 認可申請も届出でもPR活動は、要項を遵守すれば可能ですが募集活動については条件があります。届出では、事前相談で届出OKと出ていれば届出書類提出と同時に学生募集実施は可能です。事前相談に諮っていない場合は、書類提出後から60日経過後(もしくは文部科学省ホームページに届出受理したと公表された場合)に募集活動ができます。

 

 新しく学部を作る際は、どのように広報を行うのか、また募集戦略はどうするかを考えなければいけません。よって、PR活動はできても募集活動ができない事は定員充足の観点から大きなハンデとなります。よって、まずは4月に届出は多くなる一因となるのでしょう。

 6月に増えるのも同様の理由ですが、6月に届出だと受理は8月末になります。つまり9月から募集活動を行える=入試を実施できるという事になります。近年はAO入試は9月に実施している大学は多いです。4月・5月は書類を出せなくても、6月には届出書類を出して9月の入試に間に合わせなければいけないという事なのでしょう。

 

 届出をする際は、定員充足も見据えながら設置届出のスケジュールを組み立てる必要があります。特に近年は定員充足をしていないとCOC+といった補助金に申請できない、新しく学部学科を設置する際のハンデとなる、認証評価で指摘など様々に影響があります。(もちろん経営的にも大きな打撃です)また学部学科は思いつきで設置できるものではありません。多くの人の多大な労力が必要である事は理解しておくべき事だと考えています。