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高大接続システム会議改革「中間まとめ」を受けて、確認・検討すべき事

1ヶ月ほど前に、高大接続システム改革会議において、本会議の中間まとめが出されました。

高大接続システム改革会議「中間まとめ」の公表について:文部科学省

これらの議論には、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」や「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」などに焦点があたる事が多いですが、大学に勤務するものとしては、大学教育改革が7ページにわたって記載されております。

 

そこで、このまとめを読んで、これから手をつけなければならないのではないかと感じた項目をピックアップしてみました、いずれも短期間で出来るものではなく、かなりの時間が必要かと思います。また執行部・企画担当部署・募集戦略立案部署・学生支援など様々な部署が関係する内容になっています。

 

①3つのポリシー(ディプロマポリシー、カリキュラムポリシー、アドミッションポリシー)、特にアドミッションポリシーは他2つと一体的であるか?また抽象的な文言になっていないか?(例えば高校生が理解できる文言であるか)

3つのポリシーが一体的である必要性は既に過去の記事でも何回か述べております。また各学部のみだけを対象に確認するのではなく、大学としてのポリシーや他学部のポリシーと内容や記述の方法なども確認が必要です。 

as-daigaku23.hateblo.jp

②アドミッションポリシーは、入学者選抜方法に具体化されているか?

アドミッションポリシーで、「●●(例えば物理)の教科を修めている事」とあった場合に、きちんと確認する方法が必要です(書類上での成績の確認のみなのか、ペーパー試験で知識を問うかも検討する必要があります)

③学生の受入れ、学び、どのような力を身につけたかを発信しているか?

どのような力を身につけたかを発信することは難しいですが、例えば成績、大学全体のルーブリック、学修行動調査等からも発信する事はできるかと考えられます。他大学と比較するのであれば、PROGやIRコンソーシアムの学生調査なども有効ではないでしょうか。(※どちらも費用がかかるものですが、比較はしやすいです)

<参考>

PROG | 教育の研究・開発 | 大学受験の予備校 河合塾

大学IRコンソーシアム

④3つのポリシーを踏まえた、教学マネジメントの確立ができているか?

 例えば、学長や執行部が変わることがあっても3つのポリシーを踏まえた教学マネジメントが確立できていれば、方向性が直ぐには大きく変わることはないのではないでしょうか。(理想論ですが)現場でもポリシーを理解し、達成する為にはどうしたらいいかを日々問いながら業務にかかる事が必要です。

⑤学生の入学前の学習・活動経歴の多様性や選抜方法の違いを踏まえた初年次教育の見直し・充実

このように書かれるという事は初年次教育は一律化していると見られているのでしょう。確かにそのような大学も多いでしょうし、リメディアル教育と組み合わせている大学もあるかもしれません。それも踏まえて、例えばAO入試と一般入試の違いなどを今から測定する必要があると思います。(成績や学修行動調査も有力なデータになるのかもしれません。)

⑥コア・カリキュラムへの理解

まとめにはコア・カリキュラムの開発とありますが、どのようなものがあるかは知っておく必要があります。 

⑦教育内容及び学修成果の把握と方法の開発

 まとめには、アセスメントテストや調査、ルーブリック、ポートフォリオが挙げられていますが、一つ一つのツールを導入するのではなく、いくつか組み合わせてどのように把握するかのコーディネートが重要かと思います。

⑧学生の卒業後の追跡調査の実施、また結果をカリキュラム編成や入学者選抜へフィードバック

最近は卒業後にきちんと働いているかといった調査もやるように求められていますね。

⑨(研究業績だけではなく)教員の教育業績の評価の重視や評価結果の処遇や顕彰への活用

※他にも細かいものはたくさんありましたが、質的転換答申・学士課程答申などを受けたものはだいぶ省略しました。

終わりに

このあたりの業務はどこがやるのだろうと考えると、大学では企画室や学長室などが多いかもしれません。しかし、今の議論がどうなっているかは理解が必要ですし、教務担当部署では、⑥や⑦は理解しておく必要があります。(特に⑥は分野別保証との関連もあるでしょう)

そもそも文部科学省でどのような会議が持たれて、どのような議論をされているかを職員としては押さえておくべきではないでしょうか。またニュースだけではなく、原文を読むという事をやってもらうように働きかける事も必要だなと感じています。