大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

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大学IRに難しい分析は必要なのか?

 某大学のIR室の若手職員のAさんと某大学の法人事務局の職員のBさんと話をしている際に、Bさんから「IRだと統計学は必要なんでしょ?重回帰分析とか」と言われた事があります。(重回帰分析が難しいかどうかはここでは議論しませんが、統計学を学んだ事がない人は難しいと感じる人は少なくないと思います)

 

 どうもIRを大学で進めましょうというと、統計学や調査の専門家が必要」と思っている人が多いように感じます。また難しい分析=IRと捉えている人もいるのかもしれません。

 さらに付け加えるなら、IRは学内に散らばるデータの集約分析を行って、大学執行部等に意思決定支援のための情報を提供することが目的です。よって、難しい分析をして論文を何本発表しようが、学内の利になる分析でなければ、只の研究活動(もしくは自己満足)です。(もちろん、分析過程で新しいクエッションが出て、試みに分析してみるという事はあるでしょうし、IR担当者が発表することを否定するものではありません。日本では現場のIR担当者が発表している事は大学評価コンソーシアム等限られた場所でしかありませんので、事例発表は必要だと思います)

 

 IR担当者が様々な分析手法を選択できる幅を広げておくのは、IR担当者にとっては必要な事です。ここでIR担当者が念頭に置かなければいけないのは、①報告対象者がその分析の意味と結果を理解できるか(報告対象者に統計学や数学の知識がない事も多々ある)、②報告者が報告対象者に分かりやすく噛み砕いて説明できるかという事です。

 

 結局は、様々な大学のIR室のスタッフや室長(職員の方)と話をすると、基本的な分析が多いように思います。先ほどのAさんも「相手が理解できないと意味がない」と言っていました。また小規模中規模の大学は、かき集めてもビッグデータとは呼べるデータではありませんので、お金をかけてソリューションを導入しなくても何とかなってしまいます。

 

 仮に難しい分析をして意思決定ができる土壌ができたとしても、報告者も職員であれば異動等で変わる場合もあり、報告対象者も定められた任期等で定期的に変わりますので、一時的なものに過ぎません。組織全体で、みんながデータを読み解く力が一定レベルまであればいいですが、現実としてそのような大学は少ないでしょう。

 

 今は私立大学等改革総合支援事業等の影響もあり、IR室を立ち上げたばかりという小規模中規模大学はたくさんあると思いますが、立ち上げから次はIRをどのように大学の中に位置づけ定着し、継続性を担保していくのかを考える時期なのだと思います。

 

まとめ

①IR担当者は様々な分析の知識やノウハウは必要で、状況に合わせて適切な手段を選択する事を心がける。

②IRの目的を忘れてはいけない、研究活動とは違う事を心がける。

③分析手法を選択する際は、相手が理解できるか、もしくは相手が理解できるように自分が説明可能かを考慮する。相手が理解できなかれば、素晴らしい分析手法を選択しても意味がない(決して、相手に統計学や数学の知識や素養がある訳ではない)。

④難しい分析をしても、次にIRを担う人がその分析をできるかどうかなど、組織としてIR機能を継続的に担保できる仕組みを考える時期である。(外から人を呼べばいいという事もあるでしょうが、一人のみでIRを担当している大学の場合は経験上、上手くはいかないと思います)

 

 

 

 

 

 

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