読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

高等教育関連の話題が中心。最近は補助金やIR、SDの話題が中心です

大学のディプロマポリシーは独創性であるべきか~ポリシーの内容分析例~

 「大学のディプロマポリシーは、全て独創性でなければいけないのか?」

ここ最近考えている事の一つとして上記があります。発端はある勉強会での企業の方が「大学のディプロマポリシーは全て同じに読み取れて個性がない」との発言です。

 そもそも私立大学の場合は、大学の設置目的として「建学の精神」があります。さらに「教育目的」や「教育の理念」があり、「ディプロマポリシー」が定められている事が多いです。(このあたりの関係性や用語の定義は大学によって異なりますので、ここでは割愛します。)また「建学の精神」は変わることはほとんどありませんが、「教育目的・教育の理念・ディプロマポリシー」は例えば現代に読み替えや意味づけを新たに行うといった事も行われます。

 

それでは大学のディプロマポリシーは同じなのでしょうか?大学ポートレートや各大学のHPから193大学のディプロマポリシーを俯瞰するために、本記事ではテキスト分析をかけた結果を報告します。(調査はこの年末年始に実施しております)

 

 さて、今回、大学のディプロマポリシーをいくつか抽出してみました。対象は、大学としてのディプロマポリシーです。学部学科レベルとなると大変な数になるのと、近年では大学として(組織として)どのような人材を養成するのかということが、認証評価等でも問われていますので、大学全体のディプロマポリシーを取り上げます。また1学部のみで構成されている大学は医学・看護学・薬学の該当大学が多く、学部のディプロマポリシー=大学のディプロマポリシーとなる場合が多い為に、専門用語が多く、今回行うテキスト分析からは除外しました。

 なおテキスト分析の詳細や使用ソフトは過去の記事をご参照ください。

as-daigaku23.hateblo.jp

 なお、分析対象のポリシー一覧を見ていると、人材養成(学位授与)ではなく、124単位をとれば学士を授与するといった記述や、ディプロマポリシーの意味づけを誤解しているのではないかと思われる記述もありました。しかし、本記事では各大学のポリシーの是非を判断する意味ではなく、各大学が捉えているポリシーが俯瞰的にみてどうなのかといった事を調べますので、何かしらの記載があれば対象としております。 

 まずは大学のディプロマポリシーにはどのような言葉が多く使用されているのでしょう。

f:id:as-daigaku23:20160125100856p:plain

 100回以上頻出している語句は、まあ想像がつきやすい言葉ですね。問題・課題・実践といった語句も社会の要請や知識基盤社会などといった背景から出ている言葉と考えられます。また医療や健康といったような専門に関する言葉も見られます(例えば健康のキーワードで検索をかけると、薬科大学や医療系大学に多いキーワードです)また成績となるのは、「所定の成績を~」という文言も少なくない為ですね。

 

 続いて抽出語の階層的クラスター分析を見てみます(対象は30以上出ている語句を対象としました)コミュニケーションと課題が近いのが興味深いですね。

f:id:as-daigaku23:20160125102319p:plain

併せて出現パターンが似通っている語を線で結んだ図表である共起ネットワークも見てみます。(15回以上出ている語句を対象としました)出現数が多いほど、円が大きく、結びつきが強いほど太線になっています。

f:id:as-daigaku23:20160125102549p:plain

 これを見ると、社会を基に専門性や知識・教養と結びつきが強いのと、学位のために卒業や単位について記載しているのではないでしょうか。なお問題(課題)解決と社会は結びつきが弱いので、社会の語句が出ている文章とは別の文章に記載されているなどといった事も考えられます。

 

 これらの集計だけでは、大学のディプロマポリシーは全て同じに見えるといった根拠にはならないのですが、同じ語句を多数使用していることだけは分かりました。細かく分析してくには、今後考えられることとして、大学の規模、大学の設置年、宗教系かどうか(宗教系であれば何か?)、大学の学部等構成なども見なければならないかと思います。(ミッション系はどのような人材養成をするのか、もしくは仏教系はどうかといった分析は面白いと思うのですが、どうでしょうか?)

 

 最後に「大学のディプロマポリシーは、全て独創性でなければいけないのか?」といった私自身の考えですが、似寄る事は当然であり、極端な独創性は難しいのではないでしょうか。理由としては次の3点です、①全国に大学はいくつあるでしょうか?、②学部学科設置や認証評価で大学全体も当然見られます、③難解な長文のポリシーではなく誰でも理解が可能であり明確なポリシーが求められています。特に③のように長文で書けば、他の大学と重複しないものはできるかもしれません。しかし、ポリシーは学内だけが理解すればいいのではなく、社会に対して、これから大学に入学を考える高校生も理解できるものでないとならないと考えます。