大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

高等教育関連の話題が中心。最近は補助金やIR、SDの話題が中心です

学修成果の可視化ツール~ディプロマ・サプリメント~(3/31追記有)

 平成24年度に出された答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~(答申)」では、学生の学習時間といった量的なものから、学士力のための質的転換の為に方策を提示しています。

新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~(答申):文部科学省

 学生の学習時間の実態の把握(含む学修行動調査)は、私立大学では私立大学等改革総合支援事業のタイプ1「教育の質的転換」の配点となり、今年度は申請校の87%(n=714)が実施しています。

私立大学等改革総合支援事業:文部科学省

 

 さて、近年は大学教育再生加速プログラム(AP)に代表されるような学修成果の可視化がホットワードです。平成26年度のAPは、アクティブラーニングや学修成果の可視化などのテーマがありました。つまり量的な成果から質的な成果をどのように可視化するかが問われています。

 また今年度は大学教育再生加速プログラム「高大接続改革推進事業」としてテーマⅤ「卒業時における質保証の取組の強化」が設定されています。

平成28年度大学教育再生加速プログラム(AP)「高大接続改革推進事業」の公募について:文部科学省

既に公募要領も出されていますので、目を通している人もいるでしょう。この公募要領を見ているとQ&Aに「卒業時の学修成果の客観的提示方法を開発」で「ディプロマ・サプリメント(学位証書補足資料)」という気になる語句がありました。

あまり聞きなれない言葉ですので、調べてみるとヨーロッパのボローニャプロセスに行き着くようです。おそらく次が分かりやすい説明です。

www.shidaikyo.or.jp

①ディプロマ・サプリメント(学士、修士などの学位に添付される補足書類で、取得学位・資格の内容、授与機関等について標準化された英語で追加情報が記載されたもの)については、多くの国ですでに導入済みである。

 該当だけ引用しましたが、背景などは上記リンクをご覧ください。

そうすると、チューニングやアセスメントの議論もおさえておくといいかもしれません。参考文献は色々ありますが例えばこんな本が各国の状況を概観するにはいいと思います。 

 この「ディプロマ・サプリメント」ですが、日本の大学では取組んでいる大学はあまりなさそうです。唯一取組みを公表しているのは公立大学法人首都大学東京産業技術大学院大学です。

aiit.ac.jp

 ここのHPに掲載されているサンプルを見ると、資格(学位含む)、資格レベル、履修内容や効果、資格保有者の能力が記載されています。特に履修内容やGPA、能力の記載があるのは、興味深い内容です。(同大学院大学の紀要第8号に詳細に掲載されています)

 

また東洋大学では、スーパーグローバル大学創生支援の取組み概要の2ページ目にも、「ディプロマ・サプリメント」を作成すると記載されています。

https://www.jsps.go.jp/j-sgu/data/torikumigaiyou/h26/sgu_h26initiatives_b16.pdf

 

さて今後、仮に大学が「ディプロマ・サプリメント」を作成しようとした場合はどのような事が考えられるでしょうか。

・様式そのものを作成することは難しくはないが、成績証明書等、システムを用いて発行することがほとんどの為、システムに組み込めるか(エクセルでも、VBAを用いて作れそう)

・能力の記載については、ディプリマポリシーやカリキュラムポリシーを見直すことが必要

<参考>

大学教育部会(第43回) 配付資料:文部科学省

・どのように能力評価を行うのか、評価ツールや方法を含めたアセスメントの議論と検討が必要

<参考>

as-daigaku23.hateblo.jp

 ・各大学でばらばらの様式でいいのか?社会対しての公開や信頼性をどのように担保するかが課題。

考えるとまだありそうですが、数点ほど挙げてみました。ただこれを作成することが目的ではなく、「学修成果の客観的提示」のツールの一つであることは忘れてはいけません。例えばポートフォリオの一般公開など、他の手段も考えられます。このあたりのファシリテートをできる人材養成が実は急務かもしれません。

 

なお、次のサイトはヨーロッパにおける概要やメリットを紹介されています。

ec.europa.eu