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平成30年度からの私立大学収容定員増申請の傾向(H29.4月現在)

 平成29年4月10日に平成30年度からの私立大学等の収容定員の増加に係る学則変更認可申請一覧が公表されました。これは申請一覧ですので、まだ定員増が確定という事ではありません。

平成29年3月末申請の収容定員の増加に係る学則変更認可の諮問について:文部科学省

 ただ4月10日に掲載された認可申請一覧のPDFには、一部訂正があります。(数式のエラーや一部大学の数値)4月10日にPDFをダウンロードした人は再度、上記リンクから情報を確認下さい。

 

 またこの内容について、ニュースでもいくつか取り上げられていますが、全体の定員増の数値と定員増の人数が多い大学がピックアップされているようです。そこで、本ブログでは昨年度、大学の定員増について、地域別や大学の規模別に分けてデータを集計していますので、今回も同様に申請一覧からデータを見てみます。

<参考 過去記事>

as-daigaku23.hateblo.jp

また今回のブログ記事の数字は、学部入学生のみを対象とし、編入学や通信教育課程は含みません。よって対象は47大学となります。(ニュースでは48大学とありますが、美作大学は編入学定員のみを変更し、1年次の入学定員に変更がなかったので、今回は対象外としています)

 

1.地域ではどこに定員増が集中しているのか?

 まずは公表されている一覧を基に、各都道府県で何名の定員増があるかを調べてみました。なお、複数のキャンパスを持つ大学は、定員増をする学部の所在地の県の数値とします。(例:日本大学は東京と千葉のキャンパスの学部でそれぞれ定員増をしているので、各都道府県の数値として分けています)

下記の図は、次のように色分けをしています。

 0~100人   黄色

 101~500人  緑

 501~1000人  青

 1001人~   赤

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 まだ定員増の申請チャンスが終わったわけでないので、単純に昨年と比較検討できませんが、まあそんなに大差はないですね。特に東京都と京都府が顕著に出ています。

 

 2.規模別の増加率と入学定員増加者数について

 次は、大学の入学定員増加率と増加者数について見てみましょう。入学定員増加率は、H29入学定員と今回申請した増加分を合わせたH30入学定員から算出しています。下記の散布図は縦軸が増加率、横軸が増加数となります。

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 いくつか気になるものとして、

①増加者数がマイナスになっているものがあります。これは東京にある創価大学が1年次の入学定員を減らし、その分を編入学定員に振っているためです。詳細としては学部で40人減らし、3年次編入で92人増加しています。また新たに経済・法学・文学・経営に編入枠を作っています。まあ編入は92÷2で46人ですので、編入も入れた大学全体の収容定員ベースでみると創価大学は6名の増加申請を行ったと言えます。

②増加率が200%を超えている大学が2つあります。(昨年度は最高160%でした)これは、東都医療大学が千葉の幕張に看護学科120名を別途届出をするのと、京都美術工芸大学が95名から250名と大幅に申請しているものです。

③増加者数については、ニュース等メディアでも取り上げられていますので、省略しますが、上記の散布図の右端は明治大学となります。

 

そしてこの散布図をもう少し見やすいように、大学の規模別にしてみます。大学の規模、対象大学数等は下記の表を参考にして下さい。

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 一緒に規模別の増加人数や増加率の平均も出してみましたが、中規模大学が小規模大学より増加人数が少ないのは興味深いです。 

 それでは散布図を小規模・中規模・大規模の順で貼っていきます。なお、軸についてはそれぞれの数値に合わせて最大値を変えています。

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3.今回の申請について

 今回、申請一覧を見ていると、文教大学が1,905人から1,982人としています。教員数やら設置基準上の課題もあるのかもしれませんが、8,000人以下にして中規模大学のままにしておきたいのだろうなという思惑もあるのでしょう(昨年は武蔵大学が、定員増はしたけどギリギリ小規模大学に収まるようにし(950人→999人)、設置基準上の必要な教員数も少しで良いという、武蔵大学には人材がいるのだなと感じられる変更をしていました)大学の中期計画等も踏まえながら、このような計画を立案できる職員で有りたいものだなと思います。(設置基準の理解、高等教育政策、大学の状況、ライバル大学の状況などを踏まえる必要がありますので、幅広い知識と経験が必要ですね)