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平成29年度私立大学等改革総合支援事業タイプ5「プラットフォームの形成」のメモと勝手な憶測~COC+と比較して~

 私立大学の関係者は気になっているであろう私学助成ですが、現在、説明会が行われ、私立大学等改革総合支援事業についても少しづつベールを脱ぎ始めています。

 特に気になるのは、新しいタイプ5「プラットフォーム」(以下「タイプ5」)の新設ではないでしょうか。説明会の資料でしか、概要は伺い知ることは出来ないのですが、既存のタイプ1「質的転換」からタイプ4までとは異なり、複数大学での申請などいくつか気になるものがあります。そこで説明会資料ベースですが、自分のメモとして少しまとめてみました。

 なお、複数大学での連携は聞いた事があるよなと思い、平成28年度の事業であるCOC+と比較しながら見ていきたいと思います。なお、本記事は現時点で判明している資料を基にしていますので、今後内容が変わる場合があります。

まずが分かりやすいように表にしてみました。

名称 私立大学等改革総合支援事業タイプ5「プラットフォーム形成」 知(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)
年度 平成29年度(ただし中長期計画策定や実施などもあるため、事業は継続する事が前提) 平成28年度から最長5年間
概要(目的) 各大学等の特色化・資源集中を促し、複数大学間の連携、自治体・産業界等との連携を進めるためのプラットフォーム形成を支援する
(※教育機関・自治体・産業界を含めたプラットフォームを形成し、地域における高等教育に関する中長期計画の策定。複数校の申請が必要)
各大学の強さを活かし、大学の機能別分化の推進と地域再生・活性化の拠点となる大学の形成であるCOCを発展し、学生にとって魅力ある就職先の創出・開拓と人材養成。またひとの地方への集積が目的。
補助金 一般補助の増額(タイプが選定されれば、「教員経費」「学生経費」が一定割合で増額)
特別補助の増額(調査票の点数に応じた一定額を増額)
※他に設備整備事業や施設・装置等の整備事業に対して申請をすると補助される場合がある(私立大学等教育研究活性化設備整備事業や私立大学等教育研究施設整備費補助)
※今後については今のところ、資料には記載なし
補助金基準額:68,000千円(上限はなし)
この費用は補助事業を実施する事を目的とする経費である。なお、補助事業終了機関は自律的に事業を継続することを前提に、補助期間終了後前年度は当初予算の2/3、最終年度は1/3となる。補助金の配分は、COC+に参加している大学のみ。
スケジュール タイプ1(質的転換)やタイプ2・3・4と基準時点が異なる(前者は10月31日、後者は9月30日)
タイプ5は、他大学や地方自治体、地元産業界とここまでにどのように連携するかを明確にし、中長期計画の策定が必要
最大5年間
(ただし財政状況による)
参画する団体 ・地元の高等教育機関(国公私や4大・短大など)また別地域等の大学等も参画可能。大学等はそれぞれの特色や資源を集中し、財として共有化と活用する。
地方自治体や地域産業界等は計画や取組への意見や支援(財政支援や人的支援)
国公私立大学及び高等専門学校
また地方公共団体や学生の受け入れ先企業、NPO、産業団体や経済団体、金融機関、マスコミなど
地域 いずれかで申請
①単独の市区町村、②原則として隣接するまたは同じ都道府県の複数の市区町村、③単独の都道府県、④原則として隣接する複数の都道府県、⑤都道府県及び隣接市町村)
都市型と地方型の設定
・都市型とは市区町村単位だと、首都圏整備法近畿圏整備法中部圏開発整備法に根拠。また都道府県単位は、東京・埼玉・千葉・神奈川・茨城・京都・大阪・兵庫・奈良・愛知・三重
・地方型は、都市型に該当する地域以外で構成
基本的には都道府県レベル(ただし小さいレベルでも可能。選定は小さいレベルでの選定もある)
若者が流出超過となっている地域(都道府県単位となっているが、選定を見ると県としては流入超過であっても、市町村単位で流出超過になっている地域を対象としている大学もある)
条件 ・複数の法人かつ、2大学以上で構成(例えば2つで構成する場合は片方が国立大学でもいい)
・特定の地域所在する大学等の参画が、総数のうち大多数(75%)以上
・特定の地域の地方自治体が1つ以上参画
・申請とりまとめ校は特定の地域内に所在する私立の大学
・平成30年度末までに達成すべき申請要件がある。
・申請資格がある(例えば収容定員充足率など)
・学則に地方創生を推進する大学である事を学則等に位置づける。

①年度について

 タイプ5は、中長期計画を策定して実行していく事が必要ですが、補助金は1年単位です。また来年度はタイプ5があるかどうかは確定ではありません。そもそも私立大学等改革総合支援事業そのものが確実に来年度あるかどうかは、断定はできないかと考えています。一方、COC+は最長5年間で申請をします(ただこちらも財政状況により保証はされないです)

②目的について

 いずれも大学の特色化としているのは共通ですね。ただCOC+は地域創生がメインですが、タイプ5は、特色化と資源集中とありますので、例えば看護学分野や工業系などを特色として、他大学との連携を図ってもいいのでしょう。まあ地域に同じようなライバル大学と手を組むのは少し考えてしまいますね。まったく別分野であれば、申請はしやすいように感じます。ちょっと悪いほうに考えると、その地域(プラットフォーム)内で、学問分野や想定する学生数もふまえて、大学間で学問分野とか学生数とか調整してね、もしくは合併も推奨するよという事でしょうか。

補助金について

 私立大学等改革総合支援事業は、一般補助や特別補助が増額されます。一方、COC+は事業経費として補助金が出ます。つまり前者は、使用目的について選択の幅があるのですよね。ただタイプ5に採択されたとすると、この事業を進めなければなりません。このような補助事業は、人出が必要です。COC+の場合は、補助金の中から経費として人件費をあてて、そこから特任教員とか、事務補佐員とかを雇って人員配置をするという案もあります。ただタイプ5は、自大学で誰かを担当させる必要があり、人件費等もかかる可能性があります。特に申請取りまとめ大学だと、事業のマネジメントをする場合もあり、かなりの業務負担になるでしょう。

 仮に採択されて、人を雇おうとすると、お金の増額は一般補助や特別補助なので大規模大学のほうが有利な訳です。小規模中規模大学だと、人を雇っても、このタイプ5に選定されたとしても、人件費のほうが高くつかないのかなと想像してしまいます。(つまり大規模大学が代表となりながら、コバンザメのように特色ある学部等を持つ大学が連携する事が想定されていたりしてと思ってしまいます。)

④地域について

 COC+は、対象地域が都道府県としながら、公募要領には具体的には記載されていなかったと当時思っていました。タイプ5については、かなり明確になっていますので、申請を検討する大学としてもかなり考えやすくなっています。

⑤条件

 COC+は、国立大学が主となるという条件はなかったのですが結果的に国立大学が代表となる採択事業が多くありました。一方、タイプ5は私立大学等改革総合支援事業ですので私学が中心です(ただ国立大学も入ってもかまわないようですが)また非常に気になる条件があります。それは「地域内の大学等が最低でも75%以上である」という点です。これ、京都とかは狭い地域に大学が集中している印象があるのですが、大変ではないでしょうか(でも地域でのコンソーシアムがしっかりしている所は、それのネットワークが使えますね。)

 概要を見れば見るほど、現場の担当者は大変だろうなという印象です。今年はタイプ1だけではなく、タイプ5も注目していきたいと思います。