大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

大学や高等教育関連、法令の解説が中心のブログ

【スポンサーリンク】

学部の譲渡という報道についての危惧

先日、学部の譲渡というニュースが高等教育界隈では話題になりました。特に最近は専門職大学、23区内の定員抑制、複数の学部等を設置する大学が学部等の組
織の枠を越えた学位プログラムの検討など、制度が変わりつつある中でもこのニュースは衝撃だったと思います。そもそも今までは学校法人の合併や分離というものはあった訳です。

<参考>

学校法人の寄附行為の認可及び寄附行為変更の認可申請書類の作成等に関する手引(平成29年度改訂版):文部科学省

また合併や分離関係の最近のニュースや関連する話題だとこういうものもありますね。

2015年4月に学校法人龍谷大学と学校法人平安学園が法人合併―1月6日付けで正式認可|龍谷大学(りゅうこくだいがく)

www.asahi.com

www.poole.ac.jp

またこんな例もあります。

www.umemura.ac.jp

 さて、学部譲渡の話に戻ります。一次資料がないので、制度や具体的イメージが分かりません。ですが、個人の考えではありますが、学部譲渡についてのニュースを見る限りでは、経済的な延命措置しか書かれていないのが気になります。

 

さてこの議論をする前に、ステークホルダー、特に学生に不利益が生じないようにする事が大前提です。

○譲渡はどこまでを示すのか?

 学部譲渡といっても、学生の入学・収容(また編入学)定員、教育研究組織、人事、福利厚生、校地校舎など色々あります。現状の大学の設置認可や定員増認可等も踏まえると、定員枠というのは大学にとってかなり重要な要素になります。また併せて、教員(特に資格課程)も同様です。ただ、「学部譲渡します→枠と人だよ→ではそっちのキャンパスに移転してね」はあまり現実的はないなと感じます。

(設置担当者は、すぐに代替が出来るものかどうかでも見ますので、枠や人は大変重要であるという見方をする人が多いと思います)

 

○1キャンパスに複数学部がある場合、1学部のみ譲渡は現実的か?

 譲渡された学部が移転しなかった場合且つ該当キャンパスに複数学部があり、1キャンパスに複数キャンパス(しかも別学校法人)はどうも様々な面から複雑になりそうです。

 

○定員枠は商品なのか?

 まあ大学にとって定員枠は、代えがたいものである事は理解しています。しかし、それを商品のように取り扱う事への違和感はぬぐえません。 

 

○改組前提の学部譲渡にならないか?

 例えば23区内の小規模大学の1学部を大規模大学が譲渡された場合、譲渡された学部を届出あるいは認可で別の学部にする事は出来ないわけではありません。そうすると、そこにいる教職員は、新学部に異動する事は確約された訳ではないのです。そもそも定員枠の商品化が進んだ結果、今後このような自体になるのではと危惧しています。

 

 今回のニュースについては、画期的というか衝撃が大きいものですが、そもそも学部譲渡のみ議論するのではなく、キャンパス移転や校地校舎の届出制度など関連した制度も併せて議論しないといけないのですよね。